ただいま。この匂い……またカレーかよ。……いや、嫌いじゃないけど。
 五条さん? 別にどうもしないけど。変な話聞かされただけ。なんか心の穴がどうたらとか……暇なんじゃねえの? 津美紀も知ってるだろ、あの人、一度話し出すと長いんだよ。全然口を挟む隙もねえ。
 あ? なんで津美紀が気にするんだよ。帰りが遅い? 別に津美紀には関係ないだろ。うるせえよ、友達がいなかったら何なんだよ。……あの人から生活費をもらう代わりに仕事手伝ってるんだよ。前にも言っただろ。別に危ないことなんか……違う、あれは五条さんのとこで怪我したんじゃなくて、ちょっと道端で猫に引っ掻かれただけで、別に津美紀が心配するほどのことじゃなくて、ほらもう治ってるだろ――って何なんだよさっきから、いきなり笑い出して。
 飯はまだだけど。あーはいはい、手を洗ってきますよ。ったく、俺の母親かっての。
 ……はあ。津美紀のことなんか全然わかんねえよ。別に本物の姉じゃないし、俺も弟じゃないし。お前のことなら喋れなくてもわかるのにな、玉犬。

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