こんばんは、七海さん――はい? 何ですか? いえ、大丈夫です……そんなことありませんよ、こんなのまだまだ可愛い方ですから……。五時間は寝てますよ。はは、あの人、この間も懲りもせず派手に京都のお偉方に喧嘩を売ったものですからしばらく嫌がらせみたいに厄介な案件ばかり回されて本当にもう大変だったんですよ! こっちだって常に人手が足りないのに等級を考慮した割り振りを考えるのも簡単じゃないんですからね! まったく、子どもですか! あんな歳食った子どもなんて可愛くもありませんよ! 少しは伏黒くんを見習ってほし――――
 あれ、七海さんは面識ありませんでしたか? 訳ありで五条さんが直々に連れてきたんですよ。まだ高専に入学できる歳ではありませんから、五条さんが一人で教えているみたいですけど。たまに任務もやってもらってます。ええ、ぶっきらぼうなのに気遣いのできる子ですよ、どこかの誰かとは大違いです。反面教師にしてるんじゃないですか?
 酒ですか? 飲んでませんけど。仕事中ですよ。どうしたんです? はあ……そうですか? いやいや七海さんこそお疲れでしょう。私はどんなに忙しくても現場には出ませんから。……悔しいですね。私、呪術師としての才能はからっきしでしたから。ただ呪霊が見えて帳を下ろせるだけで、皆さんと比べたら全然。なんでこんなことをしているのかと、なんでこんなことしかできないんだろうと、ええ――七海さんに言うことではありませんでしたね。すみません。忘れてください。
 はい、えっ? 何故そんなところにお菓子が……全然気づきませんでした。これ、お土産ですね。いつの間に……あの人、いつもこんななんですから……。
 あっ、そろそろ次の場所に向かう時間ですね。私ばかり話しててすみません。車の手配しましょうか? いえ、この仕事は後でも大丈夫なので。いいんですか? 今日はこれで三件目ですよね? 七海さん、随分とスケジュールを詰め込んで――いや、これが私の仕事ですから。ええ。皆さんのサポートくらいしかできませんから。
 私が言うのもおこがましいですが、お気をつけて。

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