ユフィやルルーシュが本人の意志を無視して強引にスザクを騎士にして(しようとして)生きる意味を与えようとするところで、そういえばこれができなかったのが五条だったなあと思った
「救い」とは沈んでいる者へ上から与えるものであり、それ自体が強引で傲慢な代物であり、対等な友人に一方的に「与える」ものなんかないんだよね 初めてできた対等な友達にそんな真似はできないもんな
ルルーシュは皇族として育てられた傲慢さが染みついていて、ランペルージ姓になっても抜けないからスザクの意見を聞かないで騎士にしようとするけど、五条はたぶん自分の生まれから逃れたい思いがあったから…

皇道見終わったのだが、いやほんと、この企画どうやって通ったんだ

スザクが不幸なのは別にいいんだけど、ルルーシュとスザクの不幸度は釣り合ってないとだめじゃない?

まあテレビアニメ版はCCの話をぶん投げて終わったからそのへんの収拾は復活でつけるんだよね?

リアタイしてたのになぜか復活のことを知らなかった人に復活の話をしたら「どのツラ下げて…」と言っていたの、ちょっと笑った

この先の人並みの幸せも世界に捧げろってルルーシュに言われなくても、スザクの人並みの幸せは父を殺した日に自ら放り投げているよね

スザクは犯した罪に対して正しい罰を追い求めて望んで不幸になるせいで余計に周りに不幸をもたらしている側面があって、作中ずっとそこを責められているんだよね

罰が与えられないせいで正しさの拠り所を壊されて自分を信じられないから、己で何も判断できないまま状況に流されて、最後にルルーシュに従ってゼロの仮面を永劫被り続けることにしたってだけで、彼の意志は最後まで取り戻せなかったし本人もそれを望んだままだったんだなあと思った

カレンがレジスタンスやってるのはお兄ちゃんの後を引き継いでいる、いわば借り物の理念だった側面があったんじゃないかと思ってたんだけど、たぶん扇たちといる時には日本語を使えるっていうのも大きいのかも

隠れてお兄ちゃんの持っていた日本語の本を擦りきれるまで読み込むカレンとか(シュタットフェルト家に入る時にあらかた私物は処分させられた)、日本語で話しかけてくるお母さんにあえてブリタニア語で返事して自己嫌悪するカレンとかいそう

カレンは何なんだろうな、正規に訓練を受けていないのにエースパイロットであるのみならず、ブリタニア人として成績優秀で、日本語ももちろん読み書きできるわけでしょ

紅蓮の起動画面が日本語だったからやっぱり作中ではブリタニア語と日本語が入り乱れているはずなんだが、中華連邦でさえみんな普通に会話してて謎すぎる

シャルルが掲げる弱肉強食と純血主義って食い合わせがとても悪いはずなんだけど、少なくとも女だからと侮られるところが皆無なのは利点だったかもね
フィクションにおいては現実の男女の体格、筋肉量で差がつくはずの身体能力の差がなかったことにできるし

純血主義って結構な危険ワードだと思うんだけど
新大陸への遷都ってことは、ブリタニアは実質的に移民国家アメリカで当然混血もいるはずだし、そもそもシャルル、マリアンヌ、ルルーシュの時点でフランス系なんだけどWASPとはいかなくてもアングロ・サクソンじゃなくていいのか?という疑問は尽きない
ニーナ・アインシュタインやヴァルトシュタインは明らかに名前がドイツ系なのに純血のブリタニア人っぽい描写なのがなんとも

現実に即して、早い段階の移民(白人)が原住民から土地を巻き上げた侵略者にも関わらず、新参者の移民を迫害する構図でもよかったんだけど 政治の話が皆無に等しいから無理だね

メタ的に言えば、ヨーロッパの強国としてイギリス、フランス、ドイツを混ぜたイメージの国家を登場させてついでに名前も混ぜたのが安直

神聖ブリタニア帝国、国家と結婚したはずのエリザベス1世に実子がいた世界線で枝分かれしたみたいだけど、テューダー朝が続いているにしても99代まで行く?数年で廃位とか暗殺とか繰り返してます?

ギアスの純血主義は白人至上主義、ナンバーズは有色人種の言い換えなんだよね 言い換えて意味がずれたから違和感が生じてしまったけど

完全に不意打ちで業スザクなるものを見てしまって勝手にダメージを受けている
立ち絵はともかく、狂気じみた笑みを浮かべるスザクは解釈違いですね…あいつは壊れた心のまま自分の暴力的な性質を自分にルールを課すことで押さえつけているのがいいんだよ
やっぱ一世を風靡した作品を絶頂期すぎてから引っ張り出してソシャゲにするのはリスキーなんだよ スタッフ入れ替わってるでしょ
業スザクがFGOで言うとスザクオルタ的なノリで出てきたとしても、そもそも業を背負っていないスザクって存在しなくない? 父親殺しの業を背負っていないスザクはスザクじゃなくない?
FGOくんもオルタとかアルターエゴとかにはいろいろ言いたいことはある
FGOくんはおおむね楽しんでるけど、今でも解釈違いのキャラはいるしな

ルルーシュもスザクも好きなんだけど、2期に入ってから特に脚本の都合が透けて見えるのがいまいちだったな 大人になったってことなのかもしれないけど

綺麗に終わった話に欲を出して続編を作るとろくなことにならないのはサイコパスで学習しました
総集編映画にはちょっと言いたいことはなくもないが、それはそれとして叛道の主題歌The Moonは好き
The Moonはルルーシュからナナリーって感じ すべてを手に入れた皇帝ルルーシュは最も望んだナナリーだけは手に入れられず、目的と手段が入れ替わっても、最も愛しいものを傷つけることになろうとも止まれなかった
「君」がナナリーで「あなた」がスザクな気もする

スザクの父親殺しの理由が本人から十分に語られないのは物足りないな
マオによれば徹底抗戦を唱えた父親を殺せば戦争が終わると思ったらしいけど、マオは悪意たっぷりに喋るから歪曲されているかもしれないし、小説のダールトンいわくスザクは信念を盾に自分さえ騙してしまう(アニメでもその片鱗が見える)ので、真実は闇の中というか、本人にもわからなくなっているのかも

小説の方だとナナリーを殺そうとした父親を止めようとして、おそらく会話では止められずに藤堂の刀で殺したことになっていてより地獄なんだよな、敬愛する師であった藤堂も含めて
父親よりナナリーを取ったスザク、たぶん愛を知らない子どもだったんだよ

小説だとゲンブが若い頃は理想に燃えていたのに権力が人を変えてしまって別人みたいになり、自国をブリタニアに売り払って口うるさい他の家を抑えて自分が権力を完全に掌握しようとするっていう、スザクに業を背負わせるための舞台装置になっているのはもったいない

息子は息子で、判断能力を失い(あるいは自ら封じて)目的と手段が噛み合っていないまま流されて死に場所を求めるのに、何より目の前の死を恐れているのに、自分が死ぬ前に死体の山を築き上げて、父子そろって本末転倒なんじゃないか

枢木ゲンブ、たぶん政治家になって権力を握ったにもかかわらず、御隠居たちの横槍とかで思い通りにいかないことを歯がゆく思っているうちに目的と手段が入れ替わって権力の追求に目が向いてしまったんじゃないかと

モニカがろくに活躍しないで死んだことに意識を持っていかれていたけど、よく考えたら「第9世代ナイトメア、枢木スザク」って台詞おかしくない? そこはランスロット・アルビオンでなくて? スザクがナイトメアなの??

まあ、スザクがナイトメアでもあながち間違いではないな…ルルーシュが即位を宣言した時、どこからともなく飛び降りたのに目が行ったけど、よく見たら衛兵の金属製の武器を生身で叩き割って傷ひとつ負ってないし

ロボなんか乗ってないで素手で戦った方が強いのでは?

そういえばスザクを見ていて一方通行を思い出してた
推しの苦悩する顔が大好きで好んで死ネタも鬱展開もバリバリ食うけど、あまりにメンタル耐久試験が長いとそろそろその話題はいい加減決着つけろよって思う

同じように悪行を重ねた他の人が救われるのに、ひとり救われない展開は普通にバランスが悪いんだわ

総集編映画で追加されたスザクの「記憶のないルルーシュに罪はない」はあまりにルルーシュにとって都合のいい台詞でちょっとどうかと思ったけど、土の味回での振る舞いを考えると、スザクはルルーシュのことを信じたくてたまらなくて「罪のないルルーシュ」を探していたのかも

ルルーシュは今に至るまでスザクのたった一人の友達だったから、許せないと思わなければ許してしまいそうで、それでは忠義を誓ったユフィへの背信ではないかという板挟みなんだよ

マオのくだりでルルーシュはスザクの父親殺しに突っ込むべきだったんじゃないかと思うけど、たぶん知るのが怖かったのかもしれない 離れている間に自分の知らない人間に変わってしまったことを

ユフィへの解釈が小説版と一致している やっぱそうだよね

小説版に知りたかったことがだいたい書いてある つまりはアニメは説明がだいぶ足りてない
だからといって7割方知らないシーンで構成するのはノベライズとしてどうかと思う

スザクがいつからゼロの状態に勘づいていたのかよくわからなかったんだけど、そうか、式根島の時か 父親殺しを知ってるのは藤堂と桐原とルルーシュとマオだけだもんな
つまりルルーシュは墓穴を掘ったのか

ルルーシュとナナリーのことをユフィに黙っていたのもゼロの正体を誰にも言わないでいたのもスザクの友情で、一方ルルーシュはスザクを説得して寝返らせるために父親殺しをつついてきたわけでしょ ひどい対比だな

美化した過去をもってして現在のルルーシュを許そうとするスザク、現在のスザクを許せないから過去を美化しているルルーシュだよねこれ

神格化されたユフィの遺影を胸に抱き、個人の幸せを完全に放棄して老衰で死ぬその瞬間まで世界に隷属するゼロ=スザクは最高だと思います

ロイドは会話のキャッチボールができなくて豪速球しか投げられないし、スザクは受け止める心が壊れて殻に閉じこもっているからボールをうまく投げ返せないし、こいつらのディスコミュニケーションは深刻すぎる セシルは職務に忠実で軍人としての意識が強いので間に立つには役不足

ユフィはノブレス・オブリージュの前に、受け取った愛情を返す相手が不足していて不均衡さに居心地が悪いんでしょう
守る力があるのに守られてばかりなのを歯痒く思うから、ひたすら死に向かおうとするスザクを強引に守ろうとする 強引でなければスザクは救えない、ルルーシュがギアスをかけたように

スザクが自殺しないのはそれが「逃げ」だから許されない、罰を受けなければならないという意識が強いのに加えて、自分に強い力があることに自覚的だから易々と死ぬわけにはいかないってのもあるような
自分に罪を贖う力があることを知っているのに、心が壊れていて使い方がわからないから、取る手段が噛み合っていなくて周囲を巻き込んで不幸へ突き進む
もっと欲望に忠実なら話は簡単だったよね

でも人の心を持ち続けることに疲れて、何も考えなくていい機械になりたがるわけで、きわめて自罰的なのに楽な方に流されようとするところもまた自己矛盾なわけだけど

ルルーシュがユフィに対して「俺にはできないことをこんなに簡単に!」って憤慨していたところ、皇族としての特権を剥奪された自分と比較して嫉妬した部分もあったんじゃないかと思う

ユフィが皇位継承権を放棄することの意義がよくわからなかったんだけど、小説版にあった皇籍奉還特権でゼロ=ルルーシュの罪を許そうとするならその手があったか!ってなる
でもこの場合、スザクは専任騎士としての立場を失うので、ユフィはスザクを守れない
二兎を追うものは一兎も得られないように、ルルーシュを守ろうとするとスザクを守れない
そもそもが皇族の地位、特権という守る力を失うから、守られる一方に再び陥るのをユフィは気づいてたんだろうか
たとえ一般人になったユフィをコーネリアは放っておかないだろうし場合によっては更に負担が増えるし

まあ一般人になったユフィをスザクともども飼い殺しみたいにするならアリなのかも コーネリアじゃなくてシュナイゼルがやりそうなことだけど

皇族でなくなったユフィが特区のトップに座り続けることはかなり難しいと思うし、そのへんシュナイゼルは見越してるよな ゼロの力を弱めてイレヴンを懐柔しようとするなら悪くない策

小説版の櫻井さんの解説でスザクの生活感が皆無って話、私室も私物もほとんど出てこないからだね 父親の遺品の懐中時計しかない 機械になりたいなら当然のことだけど
ランスロットのコクピットがスザクの私室説はちょっと笑った

復活のルルーシュ、ルルーシュの物語としては普通にナシだけどC.C.の物語としてならアリですね
C.C.は生に倦んでいたけど、孤独でなければ生き続けられるんだ

テレビアニメ版がこれ以上ないほどの終焉を見せつけたのに、復活したルルーシュはギアスを与えるというC.C.の役割を引き取って円環構造になってる
どっちの構図も好きだけど同じ作品でごちゃ混ぜにするな

C.C.は徹底して私情でしか動かないんだな

拷問後でふらふらなのにルルーシュを何発もぶん殴ってるスザク、強いなあ もっと殴っても許されると思う
スザクはこれからルルーシュと再会するたびに出会い頭に殴りかかればいいと思うよ

復活のルルーシュ単体として見ればそれなりだけど、ルルーシュに救いを用意したならスザクにも用意すべきだよ、対なんでしょう

何としてでも生きたかったルルーシュだから死が罰になるのに、不死になったら罰が消滅してバランスが悪いんだよ

小説版読んでてユフィはスザクとルルーシュ片方しか救えないよなあとか思ってたら、復活でルルーシュ片方だけ贖罪が終了してて、やっぱりそうなんじゃん

シュナイゼルがギアスを使いこなしてて生き生きしてて笑う

ロロがなんかいい奴になってたの解せない お前はルルーシュにボロ雑巾になるまで使い潰されるべき

酔っ払ったラクシャータとロイドが手を取って踊ってるところ好き ロイドとセシルのあの感じもいいよね
この三人の過去編が知りたいのだがどこにあるんですか?

復活のC.C.は完全に母親の役だったけど、よく考えたら最初から母親的なところあったな
悩み迷い気弱になるルルーシュを甘やかさない、母を早くに失って理想化された母親像を抱くルルーシュにお前はまだ子どもなのだと現実を突きつける、厳しい年長者の役回り

カレンとスザクの仕事仲間感けっこう好き たぶんスザクはうっすらカレンが好きでカレンはうっすらスザクが嫌い

リアルタイムでテレビアニメ見てたら復活で怒り狂ってたかもと思ったけど、10年も経ってたら時効だったかもしれない

前作の設定、世界観、キャラの人格を覆してくるものは基本的に嫌いだし

当時ギアスを布教してきた友人、元気にしてるかな…

C.C.が倦み疲れていたのは「生きること」じゃなくて「孤独にひとり生き続けること」だったんだね

ところでスザクくん、ユフィからもらった騎士勲章はまだ持ってますか?まさか公的に枢木スザクは死んだからって私物全部処分してませんよね?してないよね?

スザクにかけられた生きろのギアスが健在なのが復活で判明したわけだけど、ジェレミアに解除してもらわないのはゼロを演じ続けるための保険(希死念慮が完全には消えていなさそう)としてかもしれないけど、もうスザクに残された枢木スザクのものってルルーシュにかけられたギアスしかないもんな

鬱展開死ネタも辞さない友人とハッピーエンドの話をすると地獄みたいな結論になるんだよな、ハピエンの話してるのに
二人仲良く手をとって地獄に堕ちたなら、それは一種のハッピーエンドですよね

友人とマオのあたりはよかったよね、もうちょっとああいうの見たい、って話してたんだけど、たぶん我々はロボアニメに向いてない

ルルーシュがギアスを使うにはナイトメアから降りないといけなくて、そこがロボアニメとして致命的な構造上の欠陥だったように思う

モブが虐殺される展開が嫌いだから、ロボアニメとはたいてい食い合わせが悪い

結局ルルーシュが神を殺してCの世界がおかしくなったって話がよくわからないまま終わったのは消化不良なんだけど

シャムナはルルーシュと同様に不完全なコードを持っていたってことでいいのかな? 紋章が下腹部にあるのに思いっきりギアス使ってたし

そもそもの話だけど、フレイヤ弾頭が量産可能になったのに世界に平和が訪れたのがなかなか厳しいとは思ってる
閉じたディストピアではなくインターネットやらが存在してて外の世界を見られるのに、憎しみを一人の人間に集めるのに成功できるのか?それをどれだけ継続できるのか?

ゼロ=スザクがいつまで世界に必要とされるのかって話だけど、やがて表舞台から姿を消す必要があるのでは? そして世が乱れた時には再び登場する感じで
そうなるとスザクに後継者が必要になるので、拾った孤児にゼロを引き継がせて、ギアスを解除してもらった自分を殺させるくらいしてほしいね

ジノがゴールデンレトリバーみたいだねって言ったら当時からそう言われていたらしいと聞いて笑った

ジノ(に限らないけど)もうちょっと掘り下げておいてほしかったんだが、なんか小説1冊あるみたいなので楽しみにしてる

友人に確認したところ、やはりルルーシュとスザクの出会いの場面は円盤特典だったらしいので、そういう商法なら嫌いだし、尺が足りなかったせいなら構成ミスでだめだと思います 媒体ごとに話は完結させるべき

シャーリーはルルーシュの日常の象徴だった(だから日常が非日常に侵食されて悲劇になる)と思ってたし総集編でシリアス展開を切り離されて更にその役割が強くなったように感じたので、ルルーシュの身体を運び出すのを手伝わせたのがなんだかなあ 完全に都合のいい女になっちゃったじゃん
ルルーシュがシャーリーを選ぶことはないにせよ、このルルーシュは永遠にシャーリーの方を見向きもしないよ

シャーリーが殺されなくてよかったと思う理由づけが殺されない展開に修正されたことによって消滅するのは皮肉なんですか?

扇とヴィレッタの披露宴とか見るとスザクが思ったより孤独じゃなさそうでよかったけど、ルルーシュのいない世界が思ったより孤独って、お前はずっと孤独だっただろうに

ユフィを殺したルルーシュを一生許すなよと思う一方で、でも許してしまうからスザクなんだよなあとも思う

ナナリーがゼロレクイエムの真意に気づけなかったことをルルーシュに謝るシーン、ナナリーにとってお兄様が一番のままなんだなあと思ったけど、一方でルルーシュの独りよがりを脚本が肯定したみたいでちょっと座りの悪さを覚える

ルルーシュは手段を選ばない悪役でどう逆立ちしても善人ではないけど、生じた犠牲が親しい者を傷つけたことに戸惑い思い悩み気弱になるところや、視点を変えるごとに彼の行いへ違う解釈が生まれるところがいいのであって、そう易々と行いを肯定してもらってはたまらない

この表紙が最高なので一週間くらい表紙を眺めてから読みました
読み終わったのでこれからスザユフィの完成を見届けます

スザクとユフィとコーネリアの視点がとてつもなく補強されていてノベライズとして優秀なのは間違いないが、それにしても知らないシーンが7割なのは何なんですか?

汚れを知らぬ深窓の姫君、世間知らずのユーフェミアがそれゆえにお飾りと揶揄されても、その無垢なる性質、人の善性を信じる心こそがスザクの頑なな心をこじ開けたし、その人格ゆえに人を魅了して特区までこぎつけたんだよなあ

スザクがアッシュフォード学園に編入したところ、おそらく唯一の被差別階級の人間として虐められていたのをユフィは決して知らないんでしょう
スザクが虐められることを予想できなかったのは世間知らずのお姫様だったからで、でも世間知らずに権力を行使したからスザクに日常が与えられてルルーシュと再会したわけで、スザクはどんなに虐められてもユフィに恨みなんて抱かないんでしょう

守られる側の無垢さを周囲から「押し付けられて」いたという点でユフィとナナリーは同じなんだけど、ギアスによって名は穢されても本質は無垢なままユフィが死んで、ナナリーはフレイヤ弾頭の発射スイッチを握って無垢であることをやめたので、この二人も対比されていたのかもしれない

思い返してみたら総集編でスザクの自室なのか執務室なのかが出てきてユフィの巨大な肖像画があったわけだから、あれがスザクの数少ない私物であり、権力を自分のために使った唯一の例なのかもしれない

あのユフィの肖像画は大きすぎてレンブラントの夜警よろしくドアから入れないと思うので、部屋の中でキャンバス組み立てて描いたのでは?

一番大事なものはひとつにすべき、ってルルーシュがスザクに言う権利はないよなあ お前がただひとつの大切なものになるはずだったユフィを奪ったんだもの
ユフィを失ったスザクにとって生きている大事なものはルルーシュになるんだけど、そのへんもルルーシュわかってなさそう

スザクは生身でルルーシュくらい瞬殺できるのにしてないのはそういうことなんだよ

でもわたしが好きなのはキャラクターじゃなくて物語なので、ルルーシュが蘇ったことによってルルーシュとスザクで分かち合っていた罪と罰の構図が崩れたのはいただけないですね

復活のルルーシュ、本編ではさまざまなしがらみで対立していた人たちが一丸となって敵に立ち向かうというドリームチームな構図で10年越しのファンサービスとしては悪くないと思う

生きたいと願ったルルーシュが死に、死にたがっていたスザクが生きることで二人とも罪に対応する罰を受けていたわけで、じゃあルルーシュがC.C.と共に生きるならスザクは死んでCの世界でユフィに再会させてやれよと思わんでもない

ゼロレクイエムは、追い詰められて思い詰めた少年たちが馬鹿げた策と知りながらそれしかないと悲壮な決意を固めて実行したものであって、決して肯定してはいけないと思うんですよ

結局、なんて馬鹿な真似をするんだ!って叱る大人が最後まで不在であったために、大人になりきれなかった子どもたちの精一杯の未熟な足掻きの果ての悲劇に到達する その悲劇性がいいんですけどね

すべてを失い、上り詰めた地位から地獄へ転落する主人公の死で幕を閉じる悲劇性を好きになったのだから、喜劇にしてくれるな、というのも否定できない

同人誌なら喜んで読んでも公式では読みたくないってやつ

小説のゆかなの解説で善悪の話をしていて、たしかに一期は反逆するルルーシュと体制側のスザクで対比軸ができていたし、善悪とは視点を変えれば容易く入れ替わるもの、正しさの基準は移ろうもの、というコンセプトをおもしろいと感じていたけど、二期で謎の心変わりを遂げてしまったのが残念でしたね

だから友人から放送枠が深夜から夕方に変わった混乱の話を聞いて腑に落ちた どう考えても二期のルルーシュが時々被害者面してるのはおかしい

1期はルルーシュとスザクの対比できれいに話が進んでいたのに2期だと大量に新規キャラが投入されたせいもあってその対比の構図がやや崩れちゃってるなあと感じたもの

廃嫡され暗殺に怯える被害者だったルルーシュが超常の力を手に入れて加害者へ転じ、父殺しの加害者だったスザクが迫害される被害者に転じる(ただし、圧政者の走狗に成り下がる点では加害者で、ギアスで意思を捻じ曲げられる点で再び被害者に転じる)構図で、加害者と被害者は目まぐるしく入れ替わる

復活でもルルーシュは騙したのかとスザクに詰られて「抗弁しない」って言ったけど、スザクはルルーシュ自身に言い訳してほしかったんだと思うよ 言い訳さえしてくれれば仕方なかったんだって許してやれた、許してやるきっかけがほしかったんだよ

ルルーシュは嘘をつきまくるから言い訳しないのを誠実と思っているんだろうけど、周りはルルーシュが好きだからこそ、なぜそうしたのか理由を聞きたいんだよ、ルルーシュのことを心の底では信じているから

スザクがルルーシュに向かって「君が生きてきてよかった」と言うなら、ルルーシュもスザクに「お前が生きていてよかった」と言ってやればよかったんだよ そうすれば仮面を被って孤独に生き続けることも罰でなくなったでしょう

つまるところ、たった一人の親友ルルーシュに置いていかれるスザクが永遠の孤独の象徴になること、「君の望んだ明日を僕は生きてゆく、君のいない明日を僕は生きてゆく」の構図が好きなんだよね

ただまあ、ギアスは見る側の度肝を抜くのを重視して細部の整合性を放り投げているところがあるので、緻密な物語を愛する人間としては、新キャラの掘り下げは諦めるからせめてばら撒いた伏線は回収しろ!とは思った

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