止まってたゴールデンカムイを再開したけど、白石はいいキャラだな こいつがいると他のキャラもボケ始めるし、全体的に重たいストーリーを軽快にしてくれる

ゴールデンカムイ原作を読んでいたら、変態が多すぎて記憶から消えていた変態がいたのを思い出してきた よくもまあ、これだけ異常者を考え出したものだね…

ゴールデンカムイ、文字数が多いし話が複雑なのでちょっとずつしか読めない 大河ドラマみたいに適宜、勢力図とか挟んでほしい

アシリパには容赦なく変顔させるのに土方歳三は事務所のガードが固すぎる

土方歳三の事務所が厳しすぎるので、たくあんネタもなんか格好良く見える

土方歳三は事務所が厳しいけど永倉新八もだよね

ずっとちまちまゴールデンカムイ読んでるんだけど、月島軍曹が「第七師団の良心」と書かれてるのめちゃくちゃ笑う
月島軍曹好きなんだよ

未だに鶴見中尉の年齢がわからないんだけど、もうすぐ定年退職(退官)だったりする?

あの時代のアイヌってどれくらい日本語ができてどれくらいアイヌ語を維持していたんだろう

土方と監獄の扉越しに会話している永倉が過去を思い出すにつれて若返っていき、対話する土方も若かりし頃の面影を取り戻す表現、好き

ひょうきんな白石もこれで孤児か何かで窃盗で生きていたわけだし、そういう薄暗い背景のすべてを吹き飛ばす軽薄な態度がすごいよなあ
まあ白石がクズなのは間違いないけど

そういえばゴールデンカムイが「可哀想なアイヌではなく強いアイヌを描いた」って話を見て、杉元がアシリパを連れ出すんじゃなくてアシリパが外に出て杉元と旅するんだよなあと思った

今まで生計を立てていた占いが外れることもあるとわかったのに、すごく前向きなインカラマッは心が強いな

チカパシが谷垣の茶碗を奪ってインカラマッに勝手に差し出すシーンは何回見ても好き 複雑な大人の心境なんか無視してしまう子どもらしい単純さで、でも二の足を踏んでいる大人を決心させるのに一役買ってる

先輩が多頭飼育崩壊のことを「鶴見中尉がやってたやつだね」って言っててめちゃくちゃ笑った

先輩も後輩も「推しがすぐ死ぬ…」と嘆いていましたが、わたしの推しは全然死なないですけど死ぬより酷い目に遭います

監獄の扉越しに会話する永倉と土方もそうだったけど、人斬り用一郎と土方も斬り合いの時に若返る表現はいいな 明治に入る際に置き去りにされた江戸の残滓を生きている

どんなにしわくちゃでよぼよぼでボケてても白刃のきらめきでかつての記憶が身体を動かす

人斬り用一郎のモデルって岡田以蔵なのかな?

サーカスのババアは何回見ても格好いい これでCVくじらなのは最高だな

サーカスのババアは登場シーンが数ページくらいしかないのに強烈なんだよ

強いババア好き FGOくんもそろそろ実装してほしい

コミカルな役回りだったくせに捕まえた殺し屋のロシア人の頭を何のためらいもなく銃でぶち抜いて煙草を吸い、いきなりハードボイルドに転向してるサーカスのババアはずるい 絶対好きになるに決まってるじゃん

サーカスの少女団に入れられる谷垣(と月島)のところ、アニメは原作通りだったんだ…
谷垣が少女のように振る舞うのはともかく、サーカスに来ている観客も谷垣に何の違和感もなく「かわいい」って言ってるのがヤバいでしょ

そうだ、ウイルタのおじさんが巻き込まれてロシア兵に撃たれて死んだのがめちゃくちゃショックだったんだ…軍人でもなく自然災害でもないから

理由があれば死んでもいいと言うと言葉は悪いけど、せめてフィクションではそうあってほしいというか 無関係のモブが特になんの意味もなく死ぬのがだめなんだよ

ロシアと日本の間ですり潰される少数民族の独立を唱えたり、ウイルタが改宗させられて天葬から土葬へ信仰が変わっていくのを嘆くくせに、ウイルタの人を巻き込むのにためらいがないキロランケの矛盾
無防備にロシア兵の前に歩み出るキロランケ、自分の行いを悔いているみたいで、撃たれなかったのをカムイのおかげと言っているのも神へ許しを請うているようにも見えた

尾形にとっては穢れなき偶像になれと言われて殺人を拒否する勇作と偶像になるよう育てられたアシリパで重なるんだ

勇作殿が「兄様はそんな人じゃない」は美しい兄弟愛に見えても尾形にとっては自分の否定でしかない
「人を殺して罪悪感を微塵も感じない人間がこの世にいていいはずがない」も正しいことを言っているようでいて、上から目線で哀れんでいるわけだし

勇作は箱入りすぎて、この世に異常な人間が存在することを知らず、それゆえ異常な人間の存在を認めず、兄の異常性は環境が兄を歪めたせいと思っていて、それは尾形にとっては自分を否定されるに等しいのだということも気づけないほど無垢だった

なんかこれ尾形が勇作を美化しているのか?

樺太アイヌの殺人に対する生き埋めの刑罰、まったくもって人道的ではないというか人道という概念が発生する前の文化なんだけど、殺人を犯した者はもう同じ人ではないとみなすってことなのかなあ
殺した人の棺を上に乗せて生き埋めにするっていう刑罰はたしかに酷な刑なのかもしれないけど、犯した罪と同等の罰を受けろという意味では筋が通ってるのかも 窃盗も指を切り落とすし

ていうかこのくだり、アニメでカットされました?

アイヌに処刑人という役割がないから、生き埋めにして間接的な死刑を課すのか

アシリパに自分を殺させて手を汚させようとする尾形、自分の命に価値を感じていないというか、自分の命をもってして自分が異常でないこと=自分が認められることを求めていたようにも見える

エノノカも可愛い女の子なのに窃盗の刑罰で指を切ると答える時に容赦なく嫌悪感丸出しの表情をしていて好き

ゴールデンカムイは表情とか無言のシーンの表現とか好き

鯉登少尉、鶴見中尉に心酔しきってて大丈夫かと思ったら、月島と谷垣を「私の部下」と呼んで怪我させられたのに怒ってて、あれでもちゃんとしてるんだな

「父上に報告できる」って嬉しそうな鯉登少尉に実の父親を殺した月島が「誇らしく思ってくださるはずですよ」って言ってやるの、本当に月島は優しいな

月島、あんな環境でも真っ当な人格を保ってて、だから鶴見中尉に目をつけられるんだ

鯉登少尉の眉毛、母親似だったの!?!?

月島って自分の父親を殺して好きな女も失ったのに全然境遇を恨んでいる節も見せないし自分より恵まれた人間に嫉妬もせずに応援し、優しすぎる

月島がスヴェトラーナの手紙を両親に届けてお母さんに抱きしめられるシーンめちゃくちゃ好き 肉親からの情を得られなくても他人に嫉妬せず、都会を見たいと言うスヴェトラーナを否定せず、むしろ理解を示した月島が最も与えられるべきものだよ

尾形って本当に、親に愛された子ども、恵まれた環境で育った高潔な性格が嫌いなんだな

月島とスヴェトラーナのところは本当に好き

鯉登少尉のお父さんも割と人格ができてるな よく息子が陸軍に入るのを許したよね

鯉登家って割と上の方の氏族出身かな?

鯉登音之進、父親と少しわだかまりがあったけど普通の家庭の範疇だし、優しい兄は死んでしまったけど代わりを押しつけられるでもなく、父親は武人らしく固い性格なだけでちゃんと愛情を持ってるし、恵まれた環境ゆえの暗さのない生活だよなあ

父親と電話して自分の出来の悪さを詫びる鯉登少年の背中に手を当てていたのは尾形か 父親に切り捨てられるのを憐れんだのか…

鯉登も尾形と同じく父親に望まれず兄弟より劣った存在で、父親に捨てられるという自分と同じ境遇だと思ったのに、結局鯉登には父親が助けに来てくれて、勝手に自分を重ねて勝手に裏切られた気分だったんだろう

チカパシがエノノカと共に暮らすことを選んで別れるシーン、アイヌの昔話を撮影した時と同じ配役で谷垣の涙がチカパシの顔に落ちるの上手いな チカパシにとって谷垣は血が繋がらなくても庇護者だったんだ

月島、自分が利用されているのに気づいてて、でももう何にも持ってないから鶴見中尉が世界をひっくり返すのを見るしかないんだ 自分がどうしようもなかった世界がせめて一人の人間によって変貌する瞬間を

鯉登少尉のお父さん、司令官としての責任感が強すぎて息子に「生きていてよかった」を言うのにさえ周りに誰もいないのを確認するんだ
でもそう言えるようになったのも鶴見中尉のおかげなんだよね

鶴見中尉が「優しい嘘」をついて自分に依存させるとしても、鯉登少尉とその父親には言葉が足りなかっただけで愛は本物だったから優しい嘘はいらないんだな

鯉登の誘拐監禁事件が鶴見中尉の自作自演で、鯉登親子に恩を売って協力を取り付けたいという下心だとしても、あの一件は鯉登少尉に父親からの愛情を確信させた事件でもあって、だから月島と違って正真正銘の「救い」なんだよね
それを隣でずっと見ていた月島が鯉登少尉の補佐につけられたのを子守と思っていても邪険にしなくて本当に優しいな 普通なら冷たく接してもおかしくないよ

もしかしたら、杉元がアシリパに見出していた純真無垢さと似た何かを月島も鯉登少尉に見ていたのかもしれない とっくに失った、あるいは最初から持っていなかったものを

月島の「あなたたちは救われたじゃないですか」は最も感情が見えた場面だなと思っていて、隠しきっていた嫉妬が滲んでいたのに怒りとか破滅させたいとかそういう原動力たりうる感情は見えなくて、諦観に支配されているんだなって思った 誰も助けに来ないから

知らなければ幸せでいられるんだから知らないままの方がいいと鯉登少尉に言う月島は、きっといご草ちゃんの真相を知りたくなかったんだ 優しい嘘に騙されていたかったんだ 鶴見中尉にほじくり返された傷口をいつか傷跡になるまで放っておいてほしかったんだ

エノノカがお別れに泣きながら札束を数えてるところ好き

土方陣営が寺で枕を並べて寝そべってくだらない話をしているところ、修学旅行っぽい

鯉登少尉が上官命令だって言うところ、いいね ずっと月島に階級を盾にして言うことを強引に聞かせたりしなかったのに

月島は最も大切だったいご草ちゃんを捨ててしまったから、もう帰る場所がないから鶴見中尉に着いて行って、良心があるのに汚れ仕事をして、罪を重ねるからどんどん沼に嵌まって抜け出せないから、まだ失っていない鯉登少尉が引っ張ってやるんだ

鶴見中尉の部下は鶴見中尉に心酔しているか、戻る場所がないかのどちらかで、谷垣や月島は後者だから、孤独を癒す存在が現れると鶴見中尉から心が離れる

月島の鶴見中尉への忠誠心は敬愛ゆえではなく他に自分を必要とする者がいない、帰る場所もない孤独によるものだから、鯉登少尉がそこを埋めてやるんだよ

鯉登少尉が鶴見中尉にただ心酔するのではなく、騙されていたことに気づいても鶴見中尉の優秀さを認め、かつ自分の信じる正しさも失っていなくて、暗い過去だらけの登場人物の中で光り輝いている

優秀な兵士に必要なものとして「愛」を挙げた鶴見中尉は、鯉登少尉の愛の根本は自分の父親から与えられたものだと気づいているんじゃないか だから鯉登少尉には「優しい嘘」を与えないのでは

たしかに鯉登少尉の誘拐事件は鶴見中尉の自作自演だけど、鶴見中尉の嘘を必要としないほどに父親の愛は大きかったな

鯉登少尉は鶴見中尉と月島の関係を不健全と呼んだけど、鯉登少尉の父親は厳格で口数が少ないだけで愛情はあって、鯉登少尉もそれを受け取っていて、すごく健全なんだよね
健全に育った鯉登少尉だから、健全な感情を月島に与えられるんだ

月島みたいな、本来は真面目で倫理観も備えていたのにふとしたはずみで道を踏み外した奴は、得てして自分が許されてはならないと思って許しを受取拒否する(しドツボに嵌って罪を重ねる)から、解決策として鯉登少尉みたいに命令という形で強引に押し付けることになる

スザクとユフィもこの構図だったな、受取拒否するから強引に許しを押し付けるの

宇佐美が鶴見中尉を愛するあまり他の人に嫉妬してかき回しているのを見ると、鶴見中尉が月島を副官に据えたのは正しい

月島、他人に嫉妬しないもんな 自分が愛されると思ってないから

尾形が欲しかったのは父からの愛なのか、異常な自分を認めてくれるなら誰でもよかったのか

鶴見中尉は工作員をしていた過去も考えると、人の心を理解して人のふりをするのが上手くて、戦争で犠牲を出したのに見合う報償がなかった兵士を憐れむのもまったくの嘘ではなくて、どれも本心なんじゃないか

でも情報将校である鶴見中尉が前線にいるのはまだよくわかってない

頭巾ちゃんことヴァシリ、尾形がいざ来たとなるとあわあわしててかわいいな

メンコを月島の頭に叩きつける鯉登少尉好き 月島に甘えてるね

キラウシと門倉の組み合わせ、完全にコメディ担当だからものすごい安心感がある

ビール工場のところ、とうとう門倉も死ぬか!?と思ったらキラウシが「わああ〜」って泣き出して、あっこれはコメディだから死なないなってなったし本当に死ななかった

キラウシはストーリー上別にいなくてもいいけどシリアスな展開を緩和するというめちゃくちゃ重要な役割がある

凶運で死なない門倉とアイヌのキラウシで杉元とアシリパに対応しちゃってるじゃん

石川啄木は土方陣営の白石ポジション

家族を得て弱くなったウイルクをかつてのウイルクのやり方で殺してやるキロランケに、劇場版ハーモニーをちょっと思い出した 「私の愛したミァハのままでいて」って言って撃ち殺したやつ

鶴見中尉に妻と子供がいたのを聞いてキレる月島にちょっと安心した 自分と同じ天涯孤独だから着いてきていたのに、月島の得られなかった愛する家族を持っていたことに、大志を抱いているはずだと信じていたからそんな個人的な理由で動いていたことに最も裏切りを感じるんだろう

鶴見中尉が妻と娘の話を始めて指の骨とともに愛情を示したシーン、ちょっと嘘なんじゃないかと思ってたら月島に聞かせるために「個人的な理由で寄り道しない」とか言っていた疑惑も浮上して、やっぱ鶴見中尉の話は何も信用できないな

それはそれとして、鶴見中尉の隣の席は私だって言った月島軍曹は好きだよ たとえそれも鶴見中尉に仕向けられたことでも、月島が騙されたがっていたとしても

鶴見中尉、別に本当の感情とか嘘の感情とかそういう区別がない人なのかな…

扉絵であやとりしてる作中でも体格のいい谷垣と有古、谷垣はともかく有古も少女扱いなの…

ゴールデンカムイは割とストーリー優先で、こういう動きをさせたいからこういうことを言うキャラクターをここで出すみたいな話の組み方をしていると思うんだけど、海賊房太郎はかなりその側面が強い 今まで曖昧にしてきた杉元とアシリパの関係をどうしたいのかと疑問を突きつける役目

ゴールデンカムイ読み終わった!!
めっちゃきれいに終わるじゃん

鯉登少尉、またなんか変なやつがでてきたと思ったら急成長するし月島に救いを与えるし、でもボンボンなところは相変わらずだしですごく好きになった

鯉登父、艦と一緒に沈むのも花沢中将と同じく司令官の責任の取り方なんだな

尾形の行動原理ってすっぱい葡萄なんだ 欲しかった父からの愛を得られなかったから、半分とはいえ血の繋がった弟が持っていた高潔さもなかったから、そんなものは無価値だと証明したいの

もう十分に尽くしたのだから月島を解放してやってくださいって鶴見中尉に言う鯉登少尉は最高だった
このシーンで鯉登少尉が共通語になるのがね 今度ははっきりと鶴見中尉のやることに自分の意思で異を唱えたんだよね

アシリパが毒矢で尾形を射った時に目からハイライトが消えたということは、ずっと目にハイライトがない尾形や鶴見中尉はとっくに心が壊れていたわけで、反対にずっと目が美しく輝いていたウイルクは正常なまま人を殺せる、なのに人の美しさを尊ぶことができて、聖人であると同時に罪人

鶴見中尉が列車から落ちるとき、妻と娘の指の骨と土地の利権書を天秤にかけて利権書を選んだけど、指の骨に何の執着もなかったわけじゃないのがいい 月島に語ったことは月島を再び自分に縛り付けるためであったとしても、まるっきりの嘘じゃなかった

鶴見中尉が壊れたのはスパイとして樺太に潜入していた時に偽装のために作った妻と娘に自分の予想以上に愛情を持ってしまったようなので、つまり鶴見中尉は自分が思っているよりずっと人間だったんだね

尾形が宇佐美に同意を求めているシーン、宇佐美が異常者で適当に話を合わせる奴だとわかっているはずなのに、うわべだけでも自分の考えを認めて欲しかったのかと思うと、本当に悲しい奴 愛を求めているくせに愛する者をことごとくその手で殺して、また愛を求めてさまよう

「私たち親子は自分の責任でついてきたからどうなってもいい」と言った通りに父親の死もとやかく言わないどころか、残された部下を守るために利用すらしたかもしれない鯉登少尉、終盤は主人公じみていたね

でも月島には相変わらずわがままをいう鯉登少尉、そこがいい 月島なら着いてきてくれるって信じてる それが月島が最も与えられたかったものだから

鯉登少尉、きっともう船酔いしないんだろうな でも変わらず船酔いして月島に介抱されてほしい気持ちもある

杉元とアシリパが結ばれても結ばれなくてもいいけど二人の子孫は見たい

騙されたがっている月島を騙す鶴見中尉は優しさだったかもしれない 月島に「優しい嘘」を与えなければ死んでいたのは事実で、命だけは助けてくれたのは事実だし

命だけを助けることを「救い」とは呼ばないけれど、命を助けてもらえたからその後に真の救いを得られたわけで、こんなに月島が報われるとは思わなかった

尾形の妄想の中の勇作殿は一緒に地獄に堕ちてくれるけど、本物の勇作はそんな兄でも地獄から引っ張り上げようとするんだろう

鯉登少尉から月島への信頼がとても無邪気で、経験豊富なたたき上げ軍曹に育成される以上の親密さが見えたの、もしかして死んだ兄の面影を月島に見ていたのかな

月島から鯉登への感情は月島が感情を抑えていて鯉登から向けられるほどには明白ではなかったけど、真面目に年下の上官を補佐している以上の面倒見の良さで鯉登の甘えを許していて、そういう積み重ねでアシリパよりも鯉登を優先して、鶴見中尉に求められた月島の忠実さの揺らぎとなるのはよかったね

土方が死ぬ間際に用一郎と同じように若返っているところ好きだったな でも用一郎と違って、若かりし頃の自分の後ろ姿を杉元に見ていて、もう自分の死期を悟っていた

様々な事情で家庭が破綻状態の登場人物が多い中、望まれた子で、まっとうに親から愛情を注がれてそれを自覚できていたキャラの多くが人格が優れているのは割と現実味があったなと思う アシリパとか鯉登少尉とか勇作とか

尾形は父に望まれていなかったけど母や祖父母には愛されていたはずで、自分の持っているものには目を向けずに持っていないものばかり見ていたから幸せになれない

尾形と月島を分けたものは本人の行動であり、人は生まれではなくその後の行動によって善し悪しが決定されるのは性悪説っぽくて、そこは現実の無情さ
環境によって正しく振る舞うことができないこともあるけれど、正しく振る舞うことができる奴が存在していると前者は往々にして本人の責任に帰される
まあ尾形は自分にないものばかり見て隣の芝を羨んで、救いの手を振りほどいて自ら地獄に堕ちていったから情状酌量の余地はあんまりないが…

鯉登は自分の社会的地位に自覚的で、それにふさわしく振る舞うように躾けられて、自分より下の者を守る義務があるし、同時に彼らを死なせる権利も持っていることを理解しているから、月島を助けるために上官命令を持ち出したところはすごく好き

鯉登父が艦とともに沈んだのはすごく悲しかったんだが、息子であっても特別扱いしないことを徹底していて司令官としての義務感がとても強かった人の最期としてはふさわしいのかも

鯉登少尉が父親の心境をちゃんと理解しているのめちゃくちゃ偉くないか?すごい真っ当に躾けられてる…

困ったことがあるとすぐに月島ァ!って呼ぶ鯉登少尉に、月島は面倒臭さを覚えると同時に必要とされていることへそんなに悪い気はしていなかったんじゃないかと思うし、その裏で鯉登父子を騙していることへのほのかな罪悪感も全くなかったわけじゃないかと思う

それにしても見た目が貴公子、家が裕福かつ地位も高いことゆえの余裕と可愛げがあって出世しまくる鯉登音之進はけっこうモテそう

月島って、鯉登父子を騙して協力させている罪悪感がよみがえるたび、でもあの二人は鶴見中尉のおかげで親子の愛情を確かめることができたじゃないか、鶴見中尉のおかげで救われたじゃないかって自分に言い聞かせていたんじゃないかと思う

たぶん鶴見中尉への不信はなかったわけじゃないけど、月島は騙されたがっていて、それを鶴見に見抜かれて欲しい言葉をかけられて、喜んで、そういう一時のまやかしの安息を糧にしているところがあったから、鯉登少尉からまやかしではない信頼をもらって、己の指針がぐらぐらになっちゃうんだよ

実は尾形は勇作の顔をじっくり見たことがなく、写真の中でしか知らなくて、妄想の勇作の顔が杉元と混ざっていたらどうしよう

複数のルーツを持つウイルクやキロランケがアイヌを選択しただけのように、鶴見中尉も複数のペルソナから状況に応じて選択していたんじゃないかと思う どれも本心で嘘じゃない
妻と娘に予想以上に愛情を抱いていたことに気づいた瞬間に壊れて複数のペルソナを統合できなくなってしまって、でも元が優秀だからばらばらの人格のまま走り続けてきた、みたいな

尾形って鬼滅の獪岳みたい 父に望まれなかったことで心に大きな穴が空いていて、母や祖父母の愛では到底足りなくて、穴から漏れる量を上回るほど愛を注げたのが勇作くらいだった

月島は確固たる親の愛があった鯉登少尉へ羨望がわずかなりともあったんじゃないかと思うけど、同時に鯉登に死んでほしくないとも思っていたんだろう 月島は自分に向けられる信頼を裏切れないから

鯉登少尉はいつだってまっすぐに月島を呼んでたもの、行くなって、私のそばにいろって、何の打算もなく

鯉登少尉は仕事や家柄の関係で上流階級ほぼみんな顔見知りのはずなので、いご草ちゃんとふとした拍子に会うけどそれが月島の幼馴染とは気づかず、そういえば先日お前と同郷の女性に会ったぞ、そうですか珍しいですね、で再会フラグがへし折れる鯉登と月島
月島はもしかしたらいご草ちゃんかも…と思っても、もういいかなって会いに行かないような気がするが、鯉登の方が気づいて会わせようと手を回すような気もする
まあ鯉登少尉ならまず会いたいかって月島に直接聞くかな

鯉登父子はかなりのノブレス・オブリージュだったな

ジョカゲ履修したせいで、鶴見中尉の新潟出身は偽装の経歴なんじゃないかとずっと疑ってたごめん
明治に中野学校はないからね…

アイヌとか民族意識とかに興味がないけど父親のマキリは受け継ぎたいと言う有古がすごく好きで、滅びゆくアイヌと和人の融合、母語話者が壊滅的でも文化の片鱗はたしかに残っているという物語の結末に向けて登場した側面はあるにせよ、どんなルーツでもそれをどう扱うのかは自分なんだっていうのがいい

少数民族に向かって外から「伝統を維持しろ」と言うのは「貧しいままでいろ」と同じ意味で、だからすべてではなく一部だけ、民族や伝統なんて縛りではなく自分がいいと思ったものを残したいと言うのはすごくいいなって思った

月島はずっと冷徹で感情を見せないで汚れ仕事も厭わなかったのに、不意に過去の傷口を抉られて感情を乱し、そこから徐々に人間らしく迷いを見せるようになって、機械の如き優秀な兵士として欠損してゆくところが最高だったな

夫と長男を亡くした鯉登母が息子に結婚を急かすが本人はあんまり乗り気じゃないので、山ほど送られてくる縁談の釣書を月島に丸投げしてそう
月島はだいぶ面倒見がいいので、積み上がった中からいい感じのお嬢さんをリストアップしてそう
私より先にお前ではないかって鯉登に言われても、あなたの世話で忙しいのでって月島は返す 鯉登も無理強いはしない

月島にとってのいご草ちゃんはもう手の届かない存在で、愛しかった感情はそのまま過去の1ページに挟み込まれてるんだろうなと思う そして現在は鯉登に振り回されるくだらない日常なんかで埋まっていけばいいよ

土方組が枕を並べて修学旅行よろしくアイヌの昔話なんかをしてたシーンがめちゃくちゃ好きなんだが、そういう金塊探しの旅でいっぱい人が死んでも、合間にあった日常を平穏になった今から振り返ってちょっと笑ったりしててほしい

尾形の行動原理はすっぱい葡萄なんだけど、その範疇に自分も入ってるよね 愛されなかった自分は愛されるに足る理由がないからって
尾形は父親に捨てられ母は気狂いの自分が不幸で可哀想な子どもと思いたくなくて、自分が異常者なら悲惨な境遇にも理由がつくからと異常者のふりをして、だから勇作からの愛が何よりも欲していたものだったのに勇作に愛されるわけにはいかなかった 異常者が愛されて許されるなんてあってはならないから
そう考えると関谷と尾形は割と似ているところもあるのではと思う
自分がただ運がなかったと思いたくなくて、自分が不幸なのは何か確かな理由があって罰せられていると思いたくて、罰せられるに足る理由を自分で作り出していた

長男に続いて夫も亡くした鯉登母は、軍人の妻らしく弱音を表立っては吐かないだろうけど、次男が帰ってきたときには泣いて喜んで、顔の傷をなぞって、お前だけでも生きていてよかったと抱きしめればいいよ
それで鯉登も部下には決して見せなかった泣き顔を母には見せればいいと思う 慌ただしく父の葬式を済ませて悲しみに浸る間もなく部下を守るために奔走して、彼らのために都合よく事実を脚色して鶴見に全責任を押しつけて、時に父の死をも利用して、そういう駆け引きを忘れて純粋に父を亡くした悲しみを

時代背景や社会階層に鑑みると鯉登少尉は男は泣いてはいけないの価値観なんだろうけど

尾形と月島は被害者としての側面と加害者としての側面が入り乱れているところがよく似ていて、でも違うのは自分が間違ったことをしているのに後悔や忌避を持ち続けていたかどうかじゃないかと思う

異常者になりたくて進んで罪を重ねる尾形、正常な倫理観を持ち続けながら命令に忠実であることを自分に課していた月島
欲しかったものを一度は得たのに自分で壊してしまったから地獄へ堕ちるしかなかった尾形、欲しいものを得たから鶴見から離れることができた月島

尾形は部隊内でもそれなりに一目置かれていたはずなのに自分からは他人と親しくしないから孤独なままで、月島は鯉登が無邪気になついてくるのに応えていたから孤独でなくなる

往々にして弱い者はさらに弱い者を傷つけるが、自分が不幸だからといって他人を傷つける言い訳にしてはならないって話でもあるよね

鶴見中尉の命令に従って汚れ仕事をしていたのも月島だし、鯉登少尉を気にかけて優先順位を間違えるのも月島だよ

複数のペルソナを使い分けていた鶴見と同様、月島にとってもどれも嘘じゃないし、だいたいみんなそう

鯉登少尉は出世して第七師団長に昇りつめ、日本軍解体まで見届けることが確定していて、ハッピー(だけではないだろうけど)な結末を約束されているところが大きいな
それでも父の死に対してどう思っているかは作中で示してほしかったが…

善き人になりたいかどうかが月島と尾形の分かれ目だったような気がする 月島は善悪の判断をやめた機械に徹しようとしてできなかったから、まだ間に合うからこっちへ来い!行くな!って鯉登が手を掴んで引き留めた

今まで鶴見中尉の命令に従って忠実な部下だったとしても罪の意識が皆無ではなかった素振りを見せた月島が、鶴見中尉の目の届かない場所でまやかしではない信頼を鯉登と築いて、許しと贖罪の機会を与えられるのは希望なのだと思いますよ

鯉登が光り輝く恒星になったのは驚きなんですけど、であれば月島は恒星の光を照り返して輝く月なのでちょうどいいのかもしれない

話が和人とアイヌを対照しているから主題から外されているけど、都会と地方の格差もすさまじいし、アイヌが差別されるのと並行して和人間でも教育を通して同化政策が行われていたはず

ゴールデンカムイのサーカス編はとても好きなのだが、ストーリー上別に必要のないパートなので、たぶん作者が強くて格好いいババアと熊みたいな体格なのに幼気な可愛さを見せる少女のような谷垣が描きたかっただけなんだろう…

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