愛ではないと知っていたわ

「やった！」
「やった！」
「夏油様と一緒にお出かけ！」
「頼んでみてよかった」
「うん、ダメ元だったけど、よかった！」
「……ねえ、美々子」
「なに、菜々子」
「私、学校って嫌いだけど、夏油様が喜ぶなら、もうちょっと行ってみようかなって思うんだけど」
「うん、私も。夏油様が言うなら。学校は嫌いだけど」
「非術師なんて嫌いだけど」
「あんな奴らと同じ空気吸ってるなんて、ほんと嫌」
「夏油様も非術師が嫌いなのにね」
「私たちは自分の意思で夏油様と一緒にいるのに」
「信じてくれないのかな……家族だって言ってくれたのに……」
「違うよ。夏油様は私たちを疑ったりしない！　でも、子どもだと思われてるんだ」
「そうだよね、夏油様が私たちに嘘なんかつかないもんね。あーあ、早く大人になりたい」
「ねえ、私やりたいことあるんだけど」
「何？」
「夏油様の髪のセット。いつも私たちの分をやってくれるでしょ？　だからたまには逆に夏油様の髪を梳かしたい！」
「いいじゃん！　今度やろ。夏油様、いっつも自分で全部やっちゃうじゃん」
「私たちだってもう、世話されるばっかの子どもじゃないし」
「楽しみ！　五条悟だってきっとやったことないよ」
「そうだよ、私たちだけだよ、こんなことができるの」
「家族じゃなきゃできないことだもん」
「家族じゃなきゃできないことだもん」
「私たちだけの特別」
「私たちの夏油様」
「五条悟になんか絶対渡してやらない」
「たかが親友になんか、夏油様は譲ってやらないんだから」
　だって私たち、家族なんだから！