私のおばあちゃんですか? そこまで険悪な仲ってわけじゃないけど、良いわけでもないですねー。真希さんのところほどじゃないですけど。一応、高専にも推薦してもらいましたし。入学時期ずれちゃいましたけど。お母さんは最後まで反対してました。外に出てほしくないんですよ。地元で跡を継いでほしいって。
 ――はい、おばあちゃんもお母さんもこの術式です。うちはど田舎でしたけど、地元では有名だったんですよ。巫女の家系? みたいな扱いで。五寸釘に藁人形なんて呪いのアイテムなのに!
 いや、二度と戻らないですね。そのつもりで村を出ました。とにかく狭くて狭くて、何でも筒抜けで、少しでも違うと除け者にして、でも、私は例外なんです。私はそういうのが嫌いで、みんなと違うことをして、でも私はいじめられないんです。私はそういう家系だから、変わっているのが普通で、手を出してはいけなくて。別に頼んでもいないのに。そういうの、うっとうしいじゃないですか。だから東京まで出てきたんです。
 そうです。真希さんは私の憧れなんです! 生まれは変えられないとしても、どう生きるかは変えられるじゃないですか。私なんかより真希さんの方がずっと難しいじゃないですか!
 呪術師だって別にやりがみたいなの感じないですよ。私、冷たいって結構よく言われるんですよね。自分のことばっか考えて何が悪いんですかね。だって、綺麗事ばっかり言ったって、自分が納得しないことなんてできないじゃないですか。自分の人生は自分のものでしょ。――真希さんのそういうとこ、好きです。
 実は、東京に来たら会いたい人がいて……こんなに人がいるんじゃ、街中でばったり出くわすのも無理ですよね。七つ上だから、もう働いているはずです。何してるのか、全然思いつかないですね。向こうだって、私が呪術師って知らないし。私のことなんか忘れちゃってるかも。その方がいいかもしれません。あの頃のことなんて覚えていたいことじゃないだろうし。でも、次は三人で会おうって地元の友達と約束したんですよね。だから、絶対に会いたいんです。
 ――はい、必ず会いに行きます。

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