薔薇の騎士連隊が代々亡命者のみで構成されているのは、同盟の自由平等の喧伝のためと国防のため隔離したいという思惑が合致した結果だと思ってるんだけど、作中でほぼ陸戦部隊としての活躍しか見当たらないのは反乱されないように艦を持たせてもらえなかったから?
最初にシェーンコップが登場した時も、鹵獲した帝国の軍艦を使ってたし
亡命者にも就業の自由を認めている振りをした隔離措置くらったら鬱屈しちゃうね、欺瞞だもの
いっそあからさまに軍への入隊を禁じている方がましだよ、諦めがつくぶん

帝国からの亡命者が絶えずやってくるなら、亡命者で固まって住んでいるんじゃないかと思うんだよね よくてチャイナタウン、悪いとゲットーとして
中では帝国標準語や風習が維持されていたり、亡命者のコミュニティで生まれ育ったせいで同盟にいながら帝国標準語しかできない子どもが社会問題化したり
中で暮らす分にはそう悪くないけど、外に出ようとすると就職口がまともにないとか
亡命者の子どもでも薔薇の騎士連隊にしか入れないとすれば、裏切り者が続出するのも納得だけど

シェーンコップ、とんだ伏兵だったな…

5巻でまたもやヤンに独裁者あるいは国家元首になることを唆しているシェーンコップ、本当にヤンがトップに立つことを望んでいるのかと思うと、試している部分もあるのかなあとも思う
ヤンがそれに難色を示すのを予想してあえて言ってみて、どっちに転んでもいいと思ってるんじゃないか
シェーンコップは愛国心とはほど遠くヤン個人にしか興味がないからヤンがいればそれで十分な様子だし、それをヤンに隠しもしないのは毒舌とか皮肉とかではなくて率直すぎるんだよ
ヤンが独裁者になっても軍人以上に似合わない姿なのを見たいだけなのか、もしかして困らせたいだけなのか

チュン・ウー・チェンとかいう超絶マイペース人間が投入されたところまで読んだ 図々しくてふてぶてしくて豪胆というレベルじゃない我が道をゆく男のバリエーション多すぎないか?

ロイエンタールの母親が浮気しているのを実は父親の方は知っていて、でも自分に自信が持てないから見逃していたとすると、一周回って喜劇だよな

ロイエンタールが全く自覚のないままミッターマイヤーに本心を話してしまって二人の関係に亀裂が入る展開とかではないですよね? ロイエンタールが心を許したからこそミッターマイヤーと道を分つはめになるとかそんなことはないですよね????

ロイエンタールとミッターマイヤー、不安しかないんですけど!

まあどんなことになってもミッターマイヤーにはエヴァンゼリンがいるしな…と思ったがロイエンタールにはミッターマイヤーしかいなくないか? 不安だ…

そもそも同じ道を歩いていると思っているのはミッターマイヤーだけで、ロイエンタールはたまたま自分の歩いている道がミッターマイヤーの歩いている道と並行していたから隣を歩いているだけのようにも見える
あるいは二人とも同じ道を歩いていると錯覚していただけで、ラインハルトの挑発的な台詞で元は別の道だったことをロイエンタールが思い出してしまったような

シェーンコップの「祖国を一度喪失している」で以前読んだ論文を思い出したんだよね
アメリカへ移民した子どもの母語能力維持に関する研究で、アメリカではその子どもの母国の地位が低いので、いくら親が母語を維持させようとしても子どもは母語を喪失し、英語へ切り替わっていくって話
この手の境遇の子どもはどっちつかずになるか、母国を捨てて移民先の国に過剰に適応(同化)しようとするので、シェーンコップを見たときはまさしく前者の通りだなと思った
補足ですが、これは著者も調査対象の子どもも中国系アメリカ人で(著者がいつからアメリカ在住かは不明)、いかに教育熱心で母語の維持に積極的なことで有名な華僑といえども、学校が移民の子どもたちの母語維持に否定的だとかなり厳しいという話です
たしか週末に中国語の教室へ通わせていた例もあった気がするんだけど、それらを上回るほど学校教育(=社会的な規範)は強いんですよね
日本における華僑の子どもの論文も読んだけど、こちらは絶望的と言う他ない感じ
まあ他ならぬわたし自身がそうであるし…

オーベルシュタインが嫌われまくってて笑う
たぶんあいつはそれも込みで振る舞ってそう オーベルシュタインが憎まれ嫌われるほどに、有能で公平な独裁者の偶像としてラインハルトは美しく輝くから

シェーンコップの「一度祖国を失ったから二度目があっても驚きも嘆きもしない」というのは同盟が滅びるフラグだと思ってたんですけど、シェーンコップは国家の興亡に作中で最も関心がない人と思っているので、彼にとって二度目の喪失とはヤンの死でしかありえないのではないですか?
シェーンコップもいずれ死ぬと思ってるんだけど、仮にヤンより後に死ぬとして
まあヤンより先に死んだ方が幸せそうなのできっとヤンより後に死ぬね、その方が物語的においしいから

完全なものが損なわれる、神の如き無欠なものが人の心を手にして零落するのに美しさを見出すタイプなので、完璧さを装っていた奴が弱みを見せるのももちろん好きです 頑丈なようでいてその実、欠けていて弱くて脆いところがね~

ヤンがどこで死ぬかといえばさすがに終盤だと思うけど、ユリアンに活躍させないといけないはずなので死んだ後にそこそこページが必要だと思うんだよね
ヤンが途中で脱落するならラインハルトは最後だろうけど、物語の最後がどこの時間軸になるのかしだいだな
戦死はありえないと思うし、老衰死は似合わないというか、敵のいない平和な世で生きられるようにも見えないし、玉座に腰を落ち着けたら退屈で死にそうな顔してるもの
よく思い返したらラインハルトが死ぬのは最後だよってネタバレされてたわ
過労死でもする? でも過労死はなんか締まりがないしな…病弱さとは無縁だし事故死でもする?

ほんとあいつ、開口一番に「ヤンは死ぬよ」とネタバレしてきたの絶対許さない 何てことを…

アッテンボローの作戦を却下するのに幼児のごとく「だめ!」としか言わないヤン・ウェンリー31歳、ほんとに31歳なの?

ケッセルリンクはいい破滅ぶりだったな 最後に自分の死を利用して「父から息子を奪い取る」と言うのがね
ルビンスキーを父親とも思っていなかったくせにねじくれた執着だけはあるんだ
ルビンスキーは最終的に金のある女を取ったけど、金という利点もなく好きになった女なら、たぶんその愛が最も本物に近かったんじゃないかと思う

同盟軍相手に訴訟も辞さない構えのマリネスク氏めちゃくちゃ好き こいつは殺しても墓からよみがえって代金の支払いを迫るタイプ

とうとうラインハルトが過労でぶっ倒れたのでむしろ安心した お前は仕事しすぎ、少しはヤンを見習え
ラインハルトは本人がきわめて優秀で、しかも卓越した有能さを見せなければ底に突き落とされる環境の悪さが苛烈な性格に拍車をかけて無能を嫌っているから、部下も着いていくのに必死よね ラインハルトが休まないのに休めるわけもない
緩衝材のキルヒアイスも失ったし

ラインハルトがたびたびキルヒアイスに話しかけているの、キルヒアイスのことを考えると心に空いた穴を否応なしに見せられて凍えるのに、キルヒアイスのことを忘れたら走り続けられない

ラインハルトが今後結婚できたとしてもキルヒアイスの空けた穴は永遠に塞がらないし、それはアンネローゼも同じ
この姉弟がキルヒアイスを奪ったのと同様に、キルヒアイスもこの姉弟の心を奪い去っている

ラインハルトが5巻にしてようやく過労で倒れたけど、キャゼルヌもちょくちょく過労っぽい描写あるよね
イゼルローンを出る際とハイネセン到着後の事務処理で不眠不休なのはどうかと思う 出撃する兵士はちゃんと休息を取る描写があるのに、事務なら休憩なしでいいわけないでしょ!
キャゼルヌが計算ミスすると普通に何千何万の人間に影響が出ると思うんですが

ヤンが1巻でフラグ立てておきながらフレデリカにプロポーズしたのが5巻後半ってのんびりしすぎじゃないの!?この意気地無し!

しかしフレデリカへの淡い初恋(未満)がやぶれたユリアンの相手をするキャゼルヌはいいお父さんだな
ヤンには先輩面してあらゆる世話を焼きまくって子どもや嫁すら連れてきて、兄とかお母さんを通り越してあらゆる保護者の要素を自分から買って出てるなと思ってたけど、ヤンもユリアンも早くに親を失っているから保護者的な側面のあるキャゼルヌはありがたい存在だったんじゃないかな

ラインハルトとヤンのW主人公的だった構図がユリアンが急成長したことにより、ヤン(成熟した大人)とラインハルト(無残な少年期の終わりを迎えて大人になる)とユリアン(成長期まっただ中)の三世代っぽく見えてきたな
ユリアンが正式に士官になって土俵に上がったとも言える
三世代と呼ぶには歳が近いけど、ヤンとユリアンのちょうど中間にフレデリカがいて、そのフレデリカとラインハルトはかなり歳が近いし

ラインハルトの判断が冴えないのは、同盟との全面対決を目前にしてこの事実に気づいて足が鈍ってしまったからだよね そうすると同盟への勝利も遠ざかるのに、未来が見えすぎて足元が揺らいでいる 未来を見通しすぎて悲観的になりがちなヤンと同様に

キルヒアイスと約束した「宇宙を手に入れる」ためにはヤンを倒さないといけないのに、キルヒアイスが死んでから新しい目標を定めることができていないから敵としてのヤンを必要としているのは皮肉としか言いようがない
やはりラインハルトは玉座に腰を据えたら死ぬのでは? 絶対に長生きしないよね
それはそれとして、ラインハルトくらいの美貌なら老いても異なる位相の美貌にクラスチェンジするだろうからそれはそれで見たい ビョルン・アンドレセンみたいな

どうしてもヤンに対する軍事的勝利が必要なのは、ラインハルトは自分の力で手に入れたという実感がほしいんだろうな…努力も責任も果たさず民から搾取するばかりだった貴族との違いが、自分はそうではないという矜持が

ラインハルトが従卒のエミールに優しくしているのはかつて少年だった自分がそうされたかったらだよなあと思った だから姉に言われた言葉をエミールにかけるんだよね
ラインハルトも目標にできる人がいればよかったかもしれないけど、彼はルドルフを反面教師(と呼ぶには憎悪が強すぎるが)としてそこに置いているからロールモデルがいなくて、同盟を征服した先を考えると迷子になってしまう

ラインハルトの庇護者としての立ち位置におさまるすべてを姉アンネローゼが占めているのは悲しいことだと思うよ、

仮にキルヒアイスが生きていたとして、キルヒアイスとアンネローゼが結ばれることをラインハルトは許せるんだろうか?とは思った 何日かキルヒアイスと口をきかないでいそう

ロイエンタールが本気で下克上を狙ってるっぽいけど、こいつは本当にやりそう
でもロイエンタールはラインハルトを打ち負かして頂きに立ちたいだけで国の運営にはさほど興味なさそうだから、ラインハルトには敵わない気がする

もしロイエンタールが死ぬならミッターマイヤーの手で殺されてくれ

バーミリオン星域会戦は、ラインハルトの好戦的な性格を利用して追い詰めたヤンと、ヤンの民主主義やシビリアンコントロールを重視する性格を利用したヒルダの対比だ

ヤンが歴史家になりたいと思って遠くまで見通せる視野を持てるのは、彼がまがりなりにも民主主義的な国でそれなりに自由に育ってきた部分はあるように思う
ヤンがどれほどトリュートニヒトを嫌い、現状の堕落した祖国を憂えても民主主義への希望を捨てないのは、彼が恵まれているというほどではなくともそれなりに自由に幸せに過ごせてきたからでは?と思った 常に生きるか死ぬかで辛酸を舐めてきたラインハルトやシェーンコップとは違って
ヤンが人生の選択に後悔があるという描写を見て、ラインハルトやシェーンコップには選択肢がほとんど与えられなかったから後悔する余裕もなかったよね、とも思った

シェーンコップがハイネセンからの停戦命令なんか無視すればいいってヤンに言うシーン、仮にヤンが己の信条を翻してそれを聞き入れたとして、シェーンコップは果たして満足するのだろうか?
シェーンコップがヤンに独裁者や軍事クーデターを唆すのはもちろん本心からだろうけど、でも独裁者になりたがらず、軍事政権に否定的で、愚かであっても民衆の意思を尊重し、常に自分の行動の正しさを疑っているヤンをこそおまえは好きなんでしょうに
シェーンコップは政治体制なんかどうでもいいから最もましな(あるいは最も好きな)人間をトップに座らせたいけど、そこで素直におだてに乗ってくれるヤンではないことを知っているし、ヤンが民主主義を大切にしているのも心得ているし、そういうヤンだから好きになった自分であることもたぶん知っている

皆の前で声も高く「停戦命令を無視すればいい」と言うシェーンコップは己の役割を理解しているようでもあり、利用しているようでもある ムライがあえてヤンと正反対のつまらない常識論を唱えてみせるように、シェーンコップは同盟出身の人間ではない外様として誰も言えない本音を口にできるから

薔薇の騎士連隊(亡命者)に参政権はあるのか、というのはシェーンコップたちを理解する上で非常に重要なポイントなんですけど、そこのところどうなんです?

まあでも、ごく単純に、祖国なるものを持たないシェーンコップは「家」がほしくて、そこにヤンがいてほしいだけなのかもしれない

割譲とかいう単語を久しぶりに見た シュレジェンかよ

一度ヤンに手ひどく敗北したミュラーの粘り強さを見ると、ラインハルトは負けたことがないから脆いなと思う
でもラインハルトは負けるわけにはいかないから、この種の強さを手に入れられない

トリュートニヒトに会いたくなくてヒルダに駄々をこねるラインハルトかわいいわね

キャゼルヌが「後見人顔」という表現をされていて、たしかにそれがいちばん適切だなと思った
ヤンとは赤の他人であることをわきまえて家族みたいな馴れ馴れしさはないけど、ただの先輩と呼ぶには親身に世話を焼きすぎているし面倒見がよすぎる
キャゼルヌパイセンはヤンが口の中でもごもご文句を言いながらも大人しく世話されるのが可愛くて仕方ないんだろう

5巻最後で辞表を却下されて働かされるしむしろ出世してるキャゼルヌが1巻のヤンとそっくりで死ぬほど笑った
やっぱり後方支援は貴重な人材なんだな、さすが戦果を上げなくても異常なスピードで昇進しただけはある

キャゼルヌみたいに後方支援の立場で割とメインにいるのは珍しいと思ったけど、彼の代替になりうるキャラクターというかライバルがいないという時点でたしかに軍事小説ではあるな

バーミリオン星域会戦からラインハルトとヤンの対談するところで、勝ち続けなければ死ぬしかないラインハルトと生きてさえいれば何とかなってきたヤンの違いを感じないでもない

ヤンが父親に死なれて士官学校に入学した設定を読んだ時は社会福祉どうなってんの?と思ったけど、これが作品の書かれた時代背景の反映だな
まあわたしが高校生の時でも「学費がタダだから防衛大学校医学部は狙い目」という話は聞きましたけどね
あるいは土地(星間距離)が広すぎて富の再分配とか累進課税的なやつがうまくいってない可能性はあるな…たぶん星系ごとの地方政府の力が強い連邦制だろうし

有能な独裁者と無能な民主主義のどちらがましか、という話を読んでいると、ルルーシュのコスプレしてる人とか放送禁止用語を連発する人とかを選挙で見るたびに「これが民主主義のコスト…」と思っていたのを思い出す
民主主義は美しいかもしれんが人間は醜いのだ

父親の借金を背負って給料を返済に充てているラインハルト少年の幻覚を唐突に受信したんですけど、アンネローゼを売った時点で借金は消えているはずだからこの世界線はないですね

貴族は体面の維持のためにすぐ借金するしな 江戸時代の武家もそうだし

最初、ラインハルトがキルヒアイスと同じ学校に入ったという描写でめちゃくちゃびっくりしたんだよね 銀河帝国では貴族と平民が同じ学校に通うのはありなんですかね?
階級社会を維持する方法としてはまず教育(むろん住むところも)から分けるのが鉄則だし、欧州貴族の子弟は自宅で親なり家庭教師から教育を受けるのが普通だったはずなので、あの設定は本当にびっくりした
軍事が話の中心なので学校教育のシステムがどうなってるのかよくわからないし、そもそも欧州のどの時期の貴族をモデルにしたのかもよくわからない
(私の貴族に関する知識はほぼすべてジェーン・オースティンのSense and Sensibilityによるものです)

loghなる略称を見かけた話を同期にしたらlegend of ginga hero?って言われてしばらく二人でginga heroで笑ってしまった
galacticなのはわかってるんだが

ロイエンタールが「お前は生まれてこなければよかった」から「どうせ生まれてきたなら可能な限り」へ前向きになったのがミッターマイヤーのおかげだったりするとなかなかにいい感じの悲劇だと思うのですが
もうこの二人は幸せにならないな…と思ってるので

出奔した裏切り者を始末するために親友を派遣するのは温情だと思う方ですね 言い訳あるいは遺言を残してもらう機会を与えてあげて、最期を独占させてやるんですからね

現代日本でいえば軍人は国家公務員なので日本国籍を有するのが大前提、日本国籍なら参政権も自動的についてくる これに準じるなら薔薇の騎士連隊にも参政権があるはず
ただ、作中の同盟と帝国は互いを国家と承認しておらず自分だけが国家という建前なので、そもそも国籍という概念が消滅していそう
おそらく身分証に「亡命者」という枠があるんじゃないかと
この場合に問題になるのは同盟生まれの亡命者の子どもで、合衆国のように出生地主義であれば同盟の国籍(と便宜上呼ぶ)が与えられるはずだが
薔薇の騎士連隊のリンツ大佐が「亡命者の子」を名乗っているので、薔薇の騎士連隊は亡命者とその子孫で構成されていそうなのがね…帰化(と便宜上呼ぶ)しても隔離されているようにも見える
やはり亡命者だけでコミュニティを形成しているのが可能性大

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