大人になるほどに理解が深まる、宜野座の苦悩と優秀さ
別に無能だと思ってたわけじゃないし、朱ちゃんが配属されるまで監視官一人で仕事してたとか大丈夫か!?休みあるか!?って思ってたけど、社会人になってから見るとやはり宜野座もごく一握りの優秀な人間なのだと思う

「ただ物語の終わりが見たいだけなのになかなか終わる気配がない…」と嘆いていたら「まあ数十年後にすっ飛ばして朱ちゃんがシビュラの電源落とすかもしれないよ?」と返されてちょっと笑った
本当にやったら暴動起きるよ
自分でハードル上げすぎてもう終われないんじゃないかとは危惧している

1期って物語におけるポジションがかなり明確に分けて割り振られていたんだな
朱ちゃんと狡噛は現場で奔走する刑事、宜野座も現場を軽視せず真面目に働いてるけど根は官僚、だから根回し折衝シーンが多い

朱が宜野座に叱られるシーンで、監視官は官僚なんだなと思った
厚生省に警察機構が吸収されたせいで刑事の職があるけど、監視官は現場経験を10年積んだら昇進が確定している だから執行官(=現場担当)と同じ視点に立ってはいけない
朱はそこの区別ができていないのを宜野座にまだ子どもだと怒られた

警察に司法権持たせてるのは何度見ても過激な世界だ 並の精神ではドミネーターというエクスキューズがあってすら、とてもやっていけない

PPPのラストで朱がテロ行為に及んだのは1期の宜野座のような折衝・根回し行為(監視官の本領であるはずの官僚的振る舞い)を諦めてしまったということだし、そもそも自身の昇進が発表される場でやったので、完全に官僚になるのを拒否しているんだな だから釈放されたら執行官になるしかない

官僚やってる知り合いが「人事情報見てたら経産省に行動課があったよ」と教えてくれた まあ官僚なので事務仕事なんですけど

監視官と執行官は潜在犯という概念を挟んで更に格差を過激にしたキャリアとノンキャリアのメタファーなんだよね
朱ちゃんが「執行官も同じ人間です!」と主張するもの正しいし、「近づきすぎるな、己の役割を忘れるな」と叱る宜野座も正しい

朱がテロ行為に及んだのは、犯罪係数による裁きの正しさを問うという意味でも、システムに運命づけられた昇進を拒否したという意味でもシビュラシステムへの拒絶

朱がテロという手段を選んだのは刑事として現場で即断するのを優先するのが習い性になっていたから、という意見を見たことがあるけど、宜野座の官僚としての働きを見るに、再三に渡って宜野座に忠告されていたにもかかわらず己の職分を忘れて狡噛と同じ轍を踏んだと言った方がいい
官僚としての適性を見込まれて配置されたのに、現場を選んでしまったことを宜野座は批判してやるべきだったね、失敗してしまった先輩として

10年監視官を務めて昇進する人間って、本来は免罪体質者に対する安全装置だったりするのかな…
シビュラが選び、シビュラの課す試練を耐え抜き、やがてシビュラの真実を知らされて社会の統治者の仲間入りをして、シビュラの電源の在り処を知る

1期を見返して、常守朱は狡噛慎也のあり得た姿であり、槙島聖護のあり得た姿みたいだなと思った
ので、PPPで槙島聖護のように己の主張を認めさせるためにテロに及び、狡噛慎也と同じくのめり込んで執行官に落ちたのはなんか納得してきた

それもこれも「法の廃止」という意味不明ワードがあまりにも意味不明で頭をやられていてその他の要素に集中しきれなかったせい
「法の廃止」って議論にすら値しないもの…

監視官を10年勤め上げると免罪体質者のことを明かされるみたいだし、つまりはシビュラシステムの共犯者になるって意味なのかな

ノナタワーの密室にいた黒スーツの中年男性たちはシビュラの正体を知っているはずでは?大臣じゃなかったっけ
それなのにシビュラにすべてを委ねようという発想はやっぱりよくわからないな…現代日本で天皇が総理を任命する形式と同じく、対外的には天皇のポジションに神託の巫女がいるだけだよね

流れてきたからつい読んでしまったが、世に出た作品がすべてなので観客は制作側の事情を思いやる必要は別にない
わたしもライターやってますけど、読み手はこっちのむちゃくちゃスケジュールとか諸般の事情は知らないし、クレームが来てもごく当然の権利だと思って本作ってますよ
順番入れ替えが大変だったのはとても同情するんですけど、そもそも法の廃止とか移民問題とかシビュラがAIになっていること、つまり未来に対するシミュレーション不足、社会問題をはっきり扱うにもかかわらず浅い描写、そもそも1期のオチはどうした?とか、わたしが許しがたいのは主にそっちだよ

3期からPPPまで時系列が逆転していることよりも、いつ続き(前日譚)が出てくるのか明らかでないのがいちばんストレスだった 何も情報を与えられないまま待つには3年は長すぎた

むしろ主人公を変えるのは賛成なんだけどな…ディストピアの側面を見ながら楽園の虚飾を維持するのが役割の主人公から、楽園側に住まう主人公に変えて、楽園の意義、心の数値化の正しさを問うてもいいと思う
1期で朱は現行の社会体制へ解答を出して、話はそこで綺麗に終わってしまっているんだから

灼と炯は主人公にもかかわらず掘り下げが本編中で十分になされなかったことに対して不満だったよ もっと主人公させてほしかった

「無茶振りされた現場がかわいそう」は同意するけど、「制作側は何も悪くない、すべてプロデューサーのせいだ」までいくと、「制作側には言い訳する機会があってよかったね」としか思わない
漫画家が編集者の悪口を言ってるのと同じで、編集やPは言い訳の場が最初からないんだよね

むしろ断片的に流れてくる情報でプロデューサーのやりたいこと割と把握できたよ…
世界を広げるには他の立場から見せるのが効果的だから主人公入れ替えには賛成だし、時系列逆転も間をそんなに開けなければ“引き”としてファンを掴めるし

ちょうど1期15話のヘルメット事件を見ていたら横から「この事件、続編だとなかったことにされてるよね」と言われて否定できなかった
あれは現代で言えばアメリカの議会議事堂襲撃事件くらいのインパクトがあるはずで、ことあるごとに引き合いにされてもおかしくないんじゃないかなあ

マシュマロの返事を書いて思ったこと
歴史の授業がないにしてもたった20年前を市民が覚えていないのはありえないんだよな…リアタイ時もそこは疑問に思ってた
前時代的な人間として出てくるのが征陸と泉宮司くらいなのは1期だけならよかったけど、廿六木や砺波にはその側面が欠けているように思う
いや砺波はシビュラを以てしても平和が訪れないことに疲れ切っていたからいいのかな?

1期前半の朱ちゃん、潜在犯も同じ人間ですって言うけど潜在犯の存在、区分は肯定するあたりを見ると、潜在犯を「病気で仕方なく隔離されている(いつか治るといいね)」くらいに思ってそう
宜野座以上の年齢層にとってはたぶん、無実であっても押されかねない烙印

槙島の言うことってめちゃくちゃわかりやすいんだよね シビュラの判定するサイコパスという数値にずっと懐疑的で、ただの数値に何の意味があるのかという
心とはそんなものなのかという、僕を正しく測れないそんなものにどうして盲目的に従えるのかという
「僕も君も本質的にはありきたりな人間だ」とチェグソンに言う槙島、時代が違えばありきたりなんだけど、この時代ではおかしいんだよね

むしろ槙島は日本が好きで、人間が好きで、こんなおかしなことになっている現状を変えたいと思っているように見える
法的、倫理的に正しい手段であったなら理想的な思想家だったでしょう

狡噛が監視官をしていた年月よりも執行官になってからの年月の方が長くなる日が来ることを、宜野座は恐れていただろうか 自分が昇進した後に狡噛が取り残されるであろう日を

3期とPPPの時系列逆転でstaynightとZero(親世代の聖杯戦争)を思い出したんだけど、そもそも1期と標本事件(0/名前のない怪物)も逆だったね
過去編を独立したエピソードにするか(前日譚)謎を繋げるか(ミッシングリンク)の話であって、時系列を反対にすればわけがわからなくなるってわけでもないのよね
ミッシングリンク自体も悪いわけじゃないけど、あまりにも間が空くとストレスになるから早めの告知が必要だと思う

いつも誰かの二番手の宜野座伸元、父は自分より事件を選んだ、母は自分よりメンタルケアを選んだ、親友も自分の言葉を聞いてくれなくて事件を選んだ、いつも誰も隣に残らない、近くにいるのに遠い

朱ちゃんと狡噛は再びペアになるんだろうけど、宜野座と美佳ちゃんはちょっと距離あるのよね

潜入捜査の際に整形を提案されるが拒否、じゃあせめて麻酔をかけようと言われても拒否、顔を焼く痛みをあえて味わい本物の苦痛を身体に刻んで荒んだ雰囲気を身につける煇・ワシリー・イグナトフ あいつはきっとそういう男

部屋に遊びに来た青柳に酒を出してみたら酔っ払って神月との失恋話をさめざめと泣きながら語られて、俺はこれを聞いてもいいのだろうか…?と困っていたらところで宜野座くんは〜?と絡まれて、特にやましいこともないにどきまぎする宜野座執行官
監視官だった頃は部屋にも入れてくれなかったのに執行官になったら部屋着どころか下着姿でもまあ青柳ならいっかと部屋に入れてくれる宜野座執行官、いいじゃんお互い出世コース外れちゃった仲なんだから〜もう君しかいないんだよ〜と青柳に押し切られた感がある
あれ絶対何度も部屋に入れてるね

青柳と神月って実際どこまでの関係なの?
執行官の外出に付き合うふりで二人でラブホ行って後から局長に釘を刺されたりしてない?

好きだった人が潜在犯になってしまったけどまだ愛してる、はわかりやすいけど、最初から潜在犯かつ部下を彼氏にする青柳の心臓には毛でも生えてるのかしらん

青柳は酒に強そうだけど、たまに本当に酔って責務と孤独に耐えきれず泣き出したりして宜野座を誘惑してみたりするけど宜野座は気づかないふりして水を飲ませてベッドを貸してやる、そして翌朝青柳になんで慰めてくれなかったのと軽く詰られて、俺はやめておけと返して朝食を出す宜野座執行官

執行官の部屋から朝帰りしたら局長に注意されたりするんだろうかと思ったけど、サイコパスがクリアなら案外許されてるのかな

青柳は神月と付き合ってると色相がきれいになるのに神月はどんどん濁っていく、たぶんこの二人はそんな感じ

わたしは死別ネタを主食にしているので青柳と神月の組み合わせはめちゃくちゃ好きです
ちなみに神月×青柳ではなく青柳×神月派です

宜野座はお団子というよりもあの邪魔そうな前髪が気になる
戦闘要員として配置されているのにあの髪型なのはちょっとよくわからない

視覚的な演出を少々過剰に感じているというか
ヘルメットをしないのとか、悪役の外見が明らかにそれとわかるとか 現実に近い髪や目の色、ファッションだったからSSから作風変わったよなーと思ってる

外務省行動課の末っ子・須郷徹平(30)の日常、めちゃくちゃ見たい

花城フレデリカ、狡噛と宜野座と同い年だったのか

意識ある時からずっと未亡人(概念)が好きなので死別要素も好きなのは必然なんだけど、最近は割と殺し合った末の孤独も好きなんじゃないかと自分を疑い始めた

一時期、ダイムはゴールデンレトリバーかバーニーズかグレートピレニーズみたいな垂れ耳長毛種の大型犬だと思い込んでいて、その幻覚がどこから来たのかずっとわからない

1期はかなり極端な設定だったからたしかに見てて疑問に思う箇所はあったけど、3期が現実に寄せてきた結果、放送時にはもうBrexitして現実に追い越され始めていたし、PPPのAIの話なんかとっくに結論が出ていて後追いでしかなく、近未来SFとしての魅力が半減するしで、やるなら徹底的に、なんだよな…

第一話で被害者にドミネーターを撃たなかった朱に始まり、ドローン工場の最終チェックは危険でも人間がやるという設定やドミネーターの引き金への言及で、人間が最終的な責任を負うことがずっと強調されているので、どういう制作会議を経たら「シビュラはAIだから公平」にたどりつくのか知りたい
「どれだけ技術が発達しようとも人間が責任を取る」を手を変え品を変え、何度も事件を通して言及し、槙島も人の意思の介在がないことを嫌っていたのに、「AIだから」に帰結させると、そのへんがちぐはぐにならない?

「人間は決断するのが実は苦手」というのをどこかで見た記憶があるし、流されるまま敷かれたレールに乗っかった方が楽なのは間違いない だからシビュラ統治下ですべてをシビュラに委ねようとするのは理解できるし、だから槙島は異物なんだよね…

ただやはりシビュラが実質的に社会を統治し始めて20年は短いので、征陸や泉宮司以外にも懐古するキャラはいた方がよかったかも

縢なんか逆に、昔を知らないで過度に昔に期待してる感じで、あれはあれで現実味がある

ドミネーターだって正式名称は携帯型心理診断鎮圧執行システムだし、シビュラシステムは包括的生涯福祉支援システムだからピースブレイカーも正式名称あるよね?

あらゆるものに代替品を用意して安定を維持するシビュラに統治され、人間関係さえ替えがきく社会で、社会を円滑に回す歯車になることに意義はないし誇りに思っていても、自分が代替されることにうっすらと寂しさと哀しみを覚えるたび、ダイムの毛並みに顔を埋めてお前だけは、と呟く宜野座監視官

何をもってして公平と呼ぶのかを決めるのは人間であり、シビュラは人間の決めた基準に沿って判定するだけだったはずで、それをノナタワーの密室に出席できるレベルの高級官僚が知らないはずがないんだけど…というか、その判断ができる人材にシビュラは適性診断を下すはずなんだけど…
3期以降、明らかにシビュラや舞台設定の解釈が変わっているにもかかわらず、世界観の説明を1期に丸投げしているから、設定の唐突な変更に戸惑う…
端々から「今はこういう解釈で作品を作っているんだな」と感じ取れはするものの、あくまで推測でしかないから作中で明言するべきだと思うんだよね…

制作側と視聴者側にはまず情報の格差があり、そして伝えたいことが全部伝わるわけではない
乖離があるのが基本で、これを認識して作らないと観客は置いてけぼり感を味わうことになる

1期はディストピア物として作中の社会体制にずっと皮肉的な態度をとっているねじれ構造で、そこがいちばん好きだったんだよね
だから作中で異物だった槙島が最も感情移入できたし、逆に作中で理想的市民だった朱は語り部にもかかわらずわかりにくいところがあった

ユートピアと一体化したディストピア、悪役こそが我々に最も近い思想を持っているというねじれ構造が好きだったので、3期が現実に寄せてきた結果、この構造が崩れ始め、またディストピアでも(もちろんユートピアでも)なくなりつつあるところにうーんってなってる どこ目指してるんだろう

執行官のペット飼育許可証を朱に書いてもらうんだけど、配属数ヶ月なので勝手がわからず、結局、宜野座が書類のテンプレや書き方、手続きを教えるはめになり、期せずしてOJTになってしまうので「これじゃどっちが監視官かわからないな」と苦笑する宜野座執行官

ダイムの散歩という名目で宜野座が時々外出申請するので、ダイムは朱ちゃんにも美佳ちゃんにも懐いてそう そして散歩タイムは実質、先輩によるメンタルケアだったりする
美佳ちゃんは最初、なんで私がこんなことを!?と思ってたけど、まあ犬に罪はないし…となる

執行官になってから精神的に余裕ができたのでずっと朱ちゃんのOJTをしている宜野座センパイ、入局したての美佳ちゃんには訝しげな顔をされるが、二係の監視官とやけに親しく話しているし書類もまず宜野座の元にやってくるし、隙あらば朱ちゃんのみならず自分にもOJTしてくるので何この人!?と思ってる

隙あらば新人二人にOJTしようとする宜野座センパイ(一係で最も古株)、監視官としての経験に加えて執行官にしてほしかったことも理解しているので、たまに指示される前に動いてしまい、美佳ちゃんに勝手に動かないでください!って怒られるけどあまりにも年齢差があるので響かない

朱ちゃんと宜野座は誰が見ても先輩と後輩だけど、美佳ちゃんといる宜野座は年の離れた兄、あるいは若すぎる父親にしか見えない

外務省所属になった当初、宿舎で荷解きする宜野座を見ながら「そういえばギノ、犬飼ってなかったか?」と聞いたら「お前が海外でふらふらしてる間に死んだよ」と返されて返事に窮する狡噛は見たい

六合塚は成城出身で成城学園がモデルと思しき学校を出ているので、教育水準も高く裕福な家庭から出てきた芸術家って感じ だからシビュラに公認されることに抵抗がないんだね

狡噛はね〜、ドミネーターを握らず敵を排除しにかかるさまとか戦闘終了後に宜野座の白い頬に跳ねた血の跡とかを見て、あ、こいつもう執行官なんだなって思い知ってほしい 自分のいない数年間の人格の変遷を突きつけられてちょっとだけ困ってほしい

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