22巻感想

真希と憲紀の会話してるところで思ったけど、みんな下の名前で呼ぶよね 自分の名字が嫌いだからなのかな
まあ御三家は名字が3パターンしかないからやむを得ないところはあるけど

2年生が仮にも自分たちの教師であるはずの五条をファーストネームで呼び捨てにしている経緯ってなんだろうな 五条が実は自分の名字が嫌いでそう呼ばせているのか、昔から顔見知りの真希がそう呼ぶのに釣られたのか
途中編入の乙骨くんは普通に先生と呼ぶし
いやそもそも夜蛾も五条をファーストネームで呼び捨てだから、もうそういう習わし?

五条はきっと後継ぎを残したくないだろうけど(だからあの年齢まで独身なんだろうし)、どうせ無数にいる親戚から次期当主が選ばれる それを止めるには非合法な手段くらいしかない
でも五条はどんなに本質が怪物でも人の振りをやめないからできなんだよな〜と思っている間に真希が禪院家を皆殺しにした

憲紀は御三家崩壊によって家のくびきからは解放されたけど、次期当主になるために母親と引き剥がされたのに当主になる道を絶たれて今までの努力と我慢も無為に帰しているのはめちゃくちゃ可哀想になるな…
まあでも殺された父親を罵れる程度のメンタルの強さはあるから大丈夫なのかな

憲紀のお母さん、再婚してもう一人息子産んでたんですか!?

直哉くん、初登場から死亡まで1巻に収まっていて早すぎないか?と思ったのに、再登場から再びの死までもっと短くて可哀想 呪霊にまでなったのにまた真希を目覚めさせる踏み台になってるじゃん

呪術は登場人物のすれ違いを当人たちは知らず読者にだけ見せる構図が好きなんだろうと思ってるけど、伏黒恵と甚爾(甚爾のわずかばかりの愛情を恵は捨てられたと思ったまま甚爾が死亡)とは違って、憲紀とお母さんはまだ取り返しがつくからちゃんとハッピーになれそうな感じがしていいな

お母さんが再婚して違う男ともう一人子どもをもうけたら、自分は戻れないと思うのは仕方ないと思う

そろそろコメディパートを入れるのも難しいかもと思ったら、鬼滅グッズをネタにするしひたすら相撲をとりたがる河童を投入するし、呪術のコメディセンスは謎

どうしても母をひと目見たくて黙って家を抜け出した加茂憲紀が並木の下を歩く母と、その隣に立つ知らない男と自分に少しだけ顔が似ている知らない男の子が理想の家族の顔をしているのを見て呆然と家に帰り、父とばったり出くわして、そして自分の外出を見咎められなかった理由を知る
たまたま京都の街中を歩いていたらお母さんと会ったのでもいいですけど

加茂憲紀のお母さん、最初は分家出身の親に加茂家当主と無理やり結婚させられた幸薄そうな妾の印象だったのに、22巻を読んだら「こんなクズ男に引っかかった私がバカだった!こんな家、こっちから願い下げよ!!憲紀も早く帰ってきなさい!!!」って感じに180度転換した

加茂憲紀が単行本の書き下ろしページで「そっかー」しか言ってないの、あまりの事態にもうそれしか言う言葉がなかったんだなと思った

加茂家ではもちろん伝統ある和食しか出ないので憲紀はファーストフードを食べたことがないけど、京都校の誰かが注文した宅配ピザを「付き合い悪いな、お前も食べろよ」と連行されてしぶしぶ食べて、そういえば母の元にいた時には食べたことがあったなと思い出してしんみりしたら周囲に気味悪がられる

呪霊に転じて再登場した直哉くん、醜い虫になったことへの感慨は特になく、相変わらずクズで、でも相変わらず甚爾に焦がれているところが彼の可愛げ
自分を殺した真希の母親なんか眼中にないし、実のところ真希にもさほど興味がなく、甚爾に近づこうとする真希への激しい嫉妬がいちばんの執着では
自分だけが甚爾の強さをわかってやれていたんだ!という身勝手な独占欲っぽさにも見える

呪術2期のキービジュアルでいかにも楽しげに夏油の前を走る五条を見て、あれは五条悟が主人公を全うする話であり、夏油傑が主人公になり損ねる話だなと思った
少年少女の成長物語として描かれる以上、ただ一人の親友と決別して大人への階段を登る五条悟の青春物語はここで完璧に終わるし、世の中の不条理を受け止めることを拒否した夏油傑は潔癖な少年のままとどまることを選ぶので物語の主人公たりえないんですよ

呪術廻戦の主人公は五条悟→乙骨憂太→虎杖悠仁の三代で構成されているのではないかと思っていて、術式が血統によってしか受け継がれない設定なのに、血縁関係のない(もしくはかなり薄い)三人で主人公のポジションを受け渡しているところがいいんだよね
六眼の出現と星漿体の代替わりは明確に時代の移り変わりを象徴しているし、留めを刺し損ねた五条の跡を継ぐように乙骨が青春の亡霊を殺し、虎杖が次へと進めるわけですよね
乙骨の時には五条のサポートがあったけど虎杖の時にはもう戦力外で、バトンの受け渡しとしてとてもよい構成ではないですか?

夏油傑はもちろん夏油傑の生きた人生の主人公だけど、物語の形をして提示されるのは成長する側と相場は決まっているので主人公にはなれないし、彼はそういうのを理解している方でしょう

いちばんスタンダードな主人公をしていたのは乙骨憂太だけど、今となっては乙骨の方が異端っぽい

箱入り息子の五条はきっと俗世の悪いこと全部を夏油から教わったのに、自分が知り尽くしているはずの呪術界の悪いことは夏油に教えなかったんだなあと思った

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