2期1話を見たんですけど、もう「素晴らしい新世界」を読んでしまったので、朱の「あなた(喜汰沢)も社会に必要とされている」の意味が「社会階級を維持するには下層の人間も必要」を含意しているように見えてしまう

サイコパスが濁りにくいというのはストレス耐性が低いという意味
上級の仕事につけたら潰れる可能性大と判断されたということになると、一方的にシビュラが悪いとも言い切れないのがこのディストピアのユートピアたる所以
シビュラはビッグブラザー(兄)で過保護だからね…

シビュラ統治下のディストピアにないのは「失敗する権利」
愚者は経験に学ぶと宜野座が皮肉を言っていたまさにその通りに、経験が必要な愚者には経験が与えられない

もしかしてデザイナーズブランドのスーツをオーダーしたいとか調理器具を見たいと言い出した縢に付き添ったのは宜野座…?
通販すればいいだろうと宜野座が断ろうとすると、実物が見たいんです!と縢が力説する 二人を微笑ましく見守る征陸が父親じみて子供の頃を思い出すのでしぶしぶ外出を許可する
ただし一日で済ませろ(宜野座の時間がない)と言われて1日の行程をぎちぎちに詰め込む羽目になり、休日のはずが二人で走ったりするし、縢があれこれ見ている間に疲れた宜野座が店内の椅子でうとうとしてる
店員には似てない兄弟なのかな…?それにしては言葉遣いに距離があるけど…と思われてる

縢の凶暴性はむしろ施設で育てられたわけだし、シビュラが潜在犯とのレッテルを貼ったことによって潜在犯のように振る舞うようになった(ゴーレム効果)可能性は高い
人口激減を経たああいう社会では人間が最も高い価値を持つはずなので、潜在犯と判断して隔離するばかりだといずれ労働力が足りなくなる
と思ってたらVVが潜在犯に投薬や記憶操作をして(治療と呼ぶには人権侵害なあたりがシビュラらしい)監視官に仕立てていて、この話を回収したんだよね
やはりVVもアニメ化してほしい

ASYLUMの縢編、何度読んでもいい話だ…
5歳で社会から不要と弾き出された縢が自ら選択して身につけた調理技術が誰とも知らない人の幸福を生み出す礎になる

朱ちゃんが配属される前の宜野座、一人で猟犬4頭も多頭飼いしてて散歩が大変そう

青柳の出番が意外と多くて、気難しくて人を寄せ付けない宜野座の同期として頼られてそう
青柳なら宜野座の顔色ヤバいな…と思ったら適当な口実つけて休ませて代わりに猟犬の面倒を見てくれそうだし、青柳ならと宜野座もリードを渡してくれそう

記憶をなくしてオフィシャルプロファイリング2を読んでいたら「シビュラに愛された朱」ですって!?!?

美佳ちゃんが公安局キャリア研究所を経ないで入局即配属されているのは監視官一人にしたら負荷がかかりすぎるというシビュラの配慮なのか、朱ちゃんに好き放題されたら困るからと監視目的なのか…
シビュラは超監視社会を築いているので、シビュラに愛されるということは一挙手一投足を監視されるという意味に等しい

六合塚の成城学院が旧成城学園、酒々井の都立学芸中学/学芸高校が旧学芸大(附属中/附属高)なのはほぼ間違いないとして、青柳の私立稲田学園は旧早稲田大学なのかな?
もしそうなら旧慶應大学もあってほしい

大学制度の廃止で学校は都立か県立になったとばかり思ってたけど、雛河は中野区立の中学校と高校なのでどういう区分なんだろう?

酒々井と六合塚の実家が共に成城にあったので、この二人は家の近くですれ違っていたかもしれない

シビュラが教育制度を大改革した割には教育の話が少ないので、めまぐるしく変わる教育制度に置いていかれそうになりながら教師を続けてるモブの話とかないですか?
まあ雑賀先生が昔の大学教授で昔の刑事だった征陸と似た立ち位置なんですけど…現役の先生(中年以上)の話が見てみたい

雛河くん、ごつい男だらけの刑事課内でふわふわしていると書かれていて、こいつは可愛い担当だな

ノベライズとスピンオフと前日譚の宜野座はどれも違う側面を抽出されている印象だけど、後者二つの宜野座が潜在犯の息子でありながら監視官をしている鬱屈や陰鬱さ、頑なさを強めに出されているので、一周回って深見真のノベライズの宜野座がいちばんおかしい
狡噛の爪をペンチで剥がすって何事?

今や原作の草薙素子がいちばん素子らしくないみたいな

宜野座がサイコパスケア薬剤を服用するシーンがスピンオフにしかなくて1期だとカウンセリングのみ
これだけでもずいぶん印象が違う

おばあちゃんっ子の朱ちゃんと実質祖母に育てられたと思われる宜野座でおばあちゃんトークしててほしい

祖母に育てられたってことは小さい頃に天然食材を使った手料理を食べたことがあるんじゃないかと思うんだけど…高級品になっちゃったからおばあちゃんが時々懐かしむくらいなのかな

2期を見始めたところですが、当時美佳ちゃんが朱の対立軸に置かれたことにびっくりしたな…宜野座の後継ポジションなのはわかるんだけど、取りなしてくれる人が少なすぎて…演出意図はわかるけど過剰

PPPで魔女と化した朱が視聴者に同調する役割を完全に放棄したけど、2期からその傾向はあったね
1期は右も左もわからない朱の目を通して物語へ没入させる作りだったけど、語り手として成立していたのは朱が新米刑事だったから
彼女の濁らない色相はあまりに強力な手札だから、先輩へスライドすると無理

2期の宜野座が青柳と会う時の服装はあんまり好きじゃないシーンなんだけど、演出意図はわかるよ
執行官になって抑圧されてきた性格が開放的になった、尊敬する父親に似てきた、普段は隠している義手を見せる、あんな格好でも動じない青柳との親密さ、なんだよね…ただやりすぎなだけ

違うジャンルで「考えさせる作品とは何か」って話を見かけたんだけど、作中の人物がそれぞれ対立した意見・信念を持ち、それぞれに一理あるような話の構成のことだよなあと思った
一方だけが正義として描かれるととたんに説教くさい、イデオロギーの押し付けと化す

「レストラン・ド・カンパーニュ」の宜野座の多頭飼いしてる感は尋常ではないね
狡噛は大型犬のくせに躾が甘くて勝手に走り出すし、縢は跳ね回ってうるさい小型犬、のんびりマイペースに歩く征陸、唯一飼い主にペースを合わせてくれる六合塚は飛び出そうとする縢を抑えてくれるので最も信頼が厚そう

限界まで弦の引き絞られた弓とか軽くつついただけで破裂しほうなほど膨らんだ風船みたいな宜野座が好きだったので、2期以降落ち着いちゃったのは寂しい

でも2期の宜野座、せいぜい30歳かそこらなので美佳ちゃんに対する「お嬢ちゃん」呼びはまあむかつくよな

シビュラ社会が息苦しいのは建前上みんなが平等だからだよね 個人の能力差をシビュラははっきりと認めているのに下級の人間に這い上がる機会を与えない
素晴らしい新世界は受精卵の段階で知能を制限して睡眠学習で社会階級を不可逆に固定しているから、エプシロンは少なくとも自己の認識の中では幸福

狡噛は主人公を降りたのに完璧型主人公としての心情描写の少なさからは逃れられないんだな…

2期の宜野座、恒星じゃなかった自分を受け入れたんだなと思う
自分に潜在犯の息子という属性を付与されたときから自ら輝けなくなって、なのに無理して輝こうとして結局諦めて、誰かを輝かせることにした感じ

日東学院体育祭、学部対抗リレーで大方の予想通りアンカーに選ばれた狡噛と宜野座が首位争いを繰り広げ、狡噛が勝って宜野座は真剣に悔しがる
たぶんその後打ち上げを拒否した宜野座が一人で帰ろうとしたので狡噛もなんとなくついていって二人でご飯食べてる

宜野座への連絡はすべて狡噛経由になっているはずだが、宜野座は他人を拒絶しているし狡噛は人間関係に関して鈍感を極めているので何も気づかない 外野はたぶんひそひそしてる

少なくとも本人の認識として「刑事の勘」に恵まれなかった宜野座を執行官たらしめるものとは監視官時代の経験に他ならないと思うのですが、もうちょっと元監視官っぽさを出してくれませんかね…

朱が語り部にもかかわらずわかりにくいところがあると時々言われているのって、朱があの社会における理想的市民なせいで見る側との価値観の乖離を時折生じさていたからなんだと思う

語り部たる朱はあの社会で正しさを認められた人間であり、見る側の感覚に近いのは悪役たる槙島の方という点でもう物語はねじれている

たまの贅沢品として出されていた祖母手作りの天然食材の料理がある日突然受け付けなくなって、ごめんなさいおばあちゃんと泣いて、いいのよ食べられるものがあるならと祖母に抱きしめられて皺だらけの手を頬で感じる伸元少年
一方で「法が人を守るんじゃない、人が法を守るんだ」という朱の台詞はまさに槙島と同じく自己の意思を最重要視していて、何も考えずにシステムに従いシステムに守られることを良しとしない

別離の宜野座はハリネズミのジレンマとよく似ていたので、子供のときに差別的でない同級生がせっかく仲良くしてくれたけど自分のせいでいじめの標的になって色相が濁った経験とかありそう

1期リアタイ時、朱がなんでドミネーターを握ったまま散弾銃を撃とうとするのかわからなかった
散弾銃は重いんだから片手では絶対に当たらないのに、なんとか撃とうとしたというアリバイ、すなわちゆきへの言い訳を作ろうとしているみたいで
ノベライズ読んだら、ドミネーターこそが正義だから手放せなかったって書いてあって、たとえ目の前で友人が殺されそうになっても殺人は忌避するよなと思い直したんだよね、あのへん

鹿矛囲もシビュラにとっては透明人間だけど、槙島は自分を見過ごすシステムが正しくないと思って、鹿矛囲は正しい姿にしようとしているって感じ むしろそうやってキャラを造形したような気もする

喜汰沢を「まだ救えたのに」って泣いている鹿矛囲、めちゃくちゃ不気味なんだよね…テロ事件を起こした現行犯なのに、犯罪係数さえ下がれば一般市民として変わらず生活できると思ってる
藤間が連行され、槙島も一度は捕まったんだから、さすがにそれはないと思うが…
裁判制度が消え去ったせいで現行犯でも犯罪係数が100未満なら捕まえられないという解釈でストーリーが動いている
1期の設定の穴をつついて作った感じだなこれ

2期は話はまとまっていたのでストーリーはそう悪くはない ただ、続編を名乗る割には1期の出来事を思い出すシーンが少ない印象
たとえば青柳が色相のクリアな喜田沢に襲われて驚愕していたところで藤間のことを思い出すカットがあった方がよかったと思う
鹿矛囲は免罪体質者ではないかとずっと疑わせる描写が続くのに槙島の影が薄いし
無菌室にも似たシビュラ社会を揺るがせたヘルメット事件のことは既に忘れ去られたかのようなのに、2期の後の時系列に位置する劇場版は1期最終話の続きみたい
そういうオーダーで作ったのかもしれない

鹿矛囲が槙島より悪役として魅力が劣ると言われがちなのは当然だよ 造形の意図が違う
槙島は物語におけるねじれ構造の頂点に位置し、生まれる時代を間違えたように観客と同じ価値観を共有する悪役、一方の鹿矛囲は舞台装置のサイマティックスキャン技術へ挑む役割を負っているのでひたすらに不気味
槙島は一貫した思想の下、一連の事件を通して社会制度へ疑問を呈し、精神的人間性を問うたが、鹿矛囲は中身がぐちゃぐちゃで、確固たる信念というものに欠けて言動が乖離しているので感情移入の対象にならない 少なくともそれを狙ったようには見えない

2期を見返すとこのマシュマロの指摘通りだな…1期はシビュラに盲目に従い、善悪の判断をシステムに依存するのは人間の生き方なのか?という話をしていたけど、2期はシビュラが社会の基盤であることを疑わず、SFとしてシビュラシステムの技術的欠陥を問い詰めている かなり方向転換してる

わたし当て馬役が完全にだめな人間なので、2期の美佳ちゃんが六合塚・唐ノ杜という揺るがぬカップルに横恋慕している感じになっていたのがけっこうきつかった
どこかで「思いっきり憎まれ役を演じてください」と指示されたと読んだ記憶があるけど、むしろこっちの方が見てて憐れみを覚えた

朱ちゃんがしれっと「宜野座さんは元監視官なので」って美佳ちゃんに言っちゃうところ、朱ちゃんが良くも悪くも無神経なところが出てるね 宜野座は狡噛に関して気を遣ってしばらく黙ってたのにね

2期は決しておもしろくなかったわけじゃないけどなんか違うと感じた理由がはっきりしてきた システムの中で生きる人々の話でもシステムに取り込まれた人の話でもなくて、サイマティックスキャン技術の話をしているんだねこれ
1期の人間らしく生きるとは何か?の延長線上にあると思って見ていたから、ずっと何がしたいのかわかってなかった
鹿矛囲を処刑して集団的サイコパスを導入させて何を成し遂げたかと言えば、システムの完全性の補完
これはつまりシビュラによる社会統治を前提としている
シビュラに挑んでいるけど、槙島と違ってシステムを打倒するのではなく改修する方向
ビフロストやジェネラルの設定、結末から見ても、シビュラの存在を肯定する路線で話を組んでいる
だから「いつかシビュラの電源を落としてやる」も「いつか潜在犯という区別もなくなるかもしれない」も全然なのよね

潜在犯には二種類いて、事件を起こしてエリミネーターで即時処刑されるか(厳密には潜在犯とは呼ばないが)、未遂で捕まるタイプが本来想定されていた潜在犯で、犯罪に近づきすぎた思考犯罪のタイプはシステムの仕様上の犠牲、あるいは予防的切除だと思うけど、このへんの話はやらないのかなあ
思考犯罪は多様性の確保のために必要じゃない?って思ったけど、免罪体質者がいるからいらないのかな

宜野座のカウンセラーが実は鹿矛囲だったということになると、なんで鹿矛囲のカウンセリングは酒々井に効いて宜野座に効かなかったのか?という疑問が生じる
宜野座は特殊な能力があるわけではなく、ただ普通に優秀なだけなので、この設定は余計だったと今でも思う 物語上不可欠な悲劇でもないし

美佳ちゃんの嫌われ役っぷりを見ると欠点が魅力になるような造形じゃないなって思う 宜野座はすぐに征陸がフォローしてくれたよ
冲方はキャラに感情移入させないタイプの作風なんですかね? マルドゥックスクランブルはメインキャラに一切感情移入できなくて挫折したので…

シビュラシステムとどう向き合うかは1期で完璧に完結しちゃったので、サイマティックスキャン技術の話をせざるを得ないところはありますね
なんせ舞台装置としてぽんと置かれただけの技術なので穴だらけだし

朱ちゃんが雑賀先生に会いに行ったところで、宜野座はやっぱり誰のいちばんにも慣れないんだよなあと思った
狡噛の代わりはいないし別になりたいつもりもない、そうね

社会人になってから見る2期、職場の雰囲気最悪でメンタル病むよ 美佳ちゃんと朱ちゃん、相性悪すぎない?こんなんで1年以上過ごしてたの?

美佳ちゃんも鹿矛囲も酒々井も嫌いではないけど好感を抱く前に憐れみが来てしまう そして憐れみを覚えてしまったらもう感情移入の対象ではない 憐れみとは距離がある感情なので

別に感情移入しなければ見れないわけじゃないけど、いきなりの方向転換に面食らったな…

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