サイコパス 2期もそろそろ見終わるので疑問に思った点をまとめておく
①全能者のパラドクスはシビュラに必要なのか?
初見でもいきなりSFが始まったこの話でよくわからなくなったので履修済みの人と話していたら「シビュラは別に全能じゃなくてもいいんじゃない?」とのこと

「シビュラはごく限られた範囲で運用しているんだから別に全能でなくてもいいんじゃない?」と言われたけど、わたしとしてもサイマティックスキャン技術に不備があることとシビュラシステムの完全性の欠如がイコールなのが再度見てもよくわからない

現在の技術で不可能だからといって存在意義を揺るがすほどなのか? そもそもシステムはあえて穴を見逃すことで完全性を保っていて、そのためにドミネーターに引き金をつけて監視官に握らせた
システムに欠陥がないとはシビュラ自身も思っていなかったし、神を気取った人間という描かれ方だったと思う

測定機器(ドミネーターの感度)の問題にはならないのかな?とずっと思っている
犯罪係数と同様、サイマティックスキャン技術も深掘りするとけっこう危ういので、なんとなくぼかして話を進めているのが歯切れの悪さを感じる原因ではないかと思う

PPPまで見てなんとなく理解してきたんだけど、冲方丁の脚本ではシビュラシステムとサイマティックスキャン技術がほぼイコールとして扱われているように感じる
これが1期の「機械のふりをしている人間たちが公平と言いながら恣意的に犯罪係数を操作できる」という設定との食い違いっぽく見える

シビュラシステムがAI(だから公平)というのは、シビュラをサイマティックスキャン技術による解析に基づく神託を下す機構としてみなしているから、だからサイマティックスキャン技術に不備があるとシビュラは立ち行かなくなるという解釈になる
PPPではっきりしたこの解釈は2期から始まっていたのか?

②鹿矛囲はどこまで透明人間なのか?
鹿矛囲はサイマティックスキャン技術で捉えることができないが、普通のカメラ(光学)には映るし他人に目撃もされる
なのに朱の部屋に侵入できたのはどういうことなのか? 彼はシステムに捕捉されないだけであって、壁をすり抜けられるわけではない

槙島に用意されていたハッカー役(チェグソン)に当たるキャラクターが不在なせいで、朱の自宅をはじめとしてセキュリティがガバガバに見えてしまう
超監視社会が色相スキャナーだけで運用されているはずがなく、作中には生体認証も監視カメラもある
このあたりはもっと説明がほしかった

シビュラをかいくぐることができれば痕跡が一切見つからないという展開をしているが、毛髪も皮膚も服の繊維も残さないというのは考えられない
改めて見ると、全身ホロはどうやって投射しているのかも気になってくる 光学迷彩レベルだし、監視カメラは人間の目とまったく同じ感度なのだろうか?

シビュラに映らないのを恐れられていたと鹿矛囲は語るが、この高度情報化社会でシビュラに映らないと日常生活は送れないのではないか?
経済省の特許閲覧記録に鹿矛囲の同級生の名前が残っていたが、つまり鹿矛囲はホログラムだけではなく、同級生たちの身分証まで偽造していたのか?

③ドミネーターのセキュリティ
網膜だけの認証は危険すぎるので多要素認証を行った方がいいのでは…
網膜パターンをコピーしたコンタクトレンズだなんてお手軽アイテムでドミネーターを奪えるというのはちょっとお粗末じゃないか? せめて静脈か掌紋も併せて登録しておいた方がいいよ…

④サイマティックスキャンの範囲
そもそもサイマティックスキャンは何をスキャンしているのか?
心拍数、呼吸、体温、視線、表情などの細かい兆候から統計的に心理状態や予測される行動を推測していると思っていた
つまり、脳みそだけになった免罪体質者はそもそもスキャンの対象外なのではないか?

泉宮司はおそらく生身と全く同じように動く義体を使っていたので測定可能だったが、はたして禾生局長の義体はどういう仕様で作られているのか
シビュラはシビュラを裁けないと言うが、単に技術的に対象外なだけではないのか?
何を以って人間と判断するかを明言せずに来てしまっているように感じる

攻殻を例に挙げれば、素子は機械に近づく人間でタチコマは人間に近づく機械だった
肉体が義体で完全に代替できるようになったとき、何を以って人間と判断するのか? 脳と神経系があればいいのか? 素材が生身に由来していればいいのか? 人間らしい振る舞いができればいいのか?

心とは何か、心を数値化するとはどういうことなのか、心は数値化していいものだったのか、を扱わなくなってきたなと感じているが、やはりこれも2期からその傾向が始まっているように思う

槙島は人間らしさを「システムに盲目的に従うのではなく自らの意志で行動を起こすこと」としたが、シビュラにとっての人間とはサイマティックスキャンに映るものだけなのか?

身体を代替できるようになった時に心は代替できるのか?魂は存在するのか?というサイバーパンク的な話が好きなのだが、サイコパスは「心の数値化」を前提としているがゆえにこの前提を扱うのをやめてしまったのだろうか?

③で書き忘れたけど、ドミネーターの充電はどうしているのか?
作中で充電するところを見たことがないし、専用の運搬機がおそらく充電器を兼ねている
セキュリティ的にも充電器は非常に限定された形であるべきなので、酒々井のドミネーターやその後手に入れたドミネーターの充電は気になる

⑤監視官にドミネーターは効くのか
鹿矛囲がわざわざこれを確かめるために青柳を殺したところがずっと不可解だった
監視官は犯罪係数を測定できるし、悪化すれば権限を剥奪されて施設行きになり、執行官適性がある場合は降格処分になる

犯罪係数を測定できる人間を裁けない可能性は皆無なのは自明の理だと思っていたので、わざわざ確認する必要はあるのか?
執行官が監視官にドミネーターを向けて銃口がロックされるのは、監視官の色相がクリアだからであって、別に監視官だからという理由でロックされているわけではない

⑥執行官の犯罪係数の上がりやすさ
2期ではエリミネーターで人を殺しまくったけど、一般市民ならともかく執行官はそんなにストレス耐性弱くないのでは?
執行官適性は犯罪係数オーバー100だけどそれ以上は上がりにくいタイプではないかと思っていた

執行官の犯罪係数300超が相次いだせいで鹿矛囲たちに撃たれたし、通常でも300を超えたら殺処分だけど、一応働いてもらわないといけない猟犬がそんなにやわでは困らないか?
執行官の消耗率が高いのは、佐々山や征陸のように犯人に殺されているか監視官の盾になっていると思っていた

⑦槙島のヘルメット事件は社会にどう影響したのか?
これが2期を2とナンバリングしているにも関わらず外伝的な話だなと感じた主因
鹿矛囲は槙島によるヘルメット事件をどう思っていたのかが出てこなかったのは、続編を名乗るには話が枝分かれしたような印象を受ける

⑧やっぱり政治がわからない
登場した官僚の役立たず感、小物感がすごい あとおじさんばっかりで未来感はないね…
あのおじさんたちは一体何の適性を見出されているのか? それとも免罪体質者の脳を入れた義体が官僚のトップを占めているのか?
視点を刑事課においているせいで、政治がどうなっているのかわからない
わからないまま、3期から政治の話に突入してしまった…

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